このまま行くと取水制限


1960年代までの東京の水は多摩川一本に頼っていましたが、水需要を賄えなくなると雨水のほか雪解け水を集めるために荒川の上流と利根川の上流でもダム開発が進みましたが、今年の冬は過去の日本の冬の平均気温より2.2℃も高く、すでに、ダム付近の雪を解かし始めているので、これは、本来ある筈の雪融け水のストックが、今年はないことになります。
現在、東京近郊のダムは、どこも、ほぼ満水状態でを貯めているため河川が細くなっていますが田植えの時期であるGWの前後2週間で、現在、ダムに貯めている大半のを使ってしまいます。
そうなると、このまま平年並みの雨しか降らなかった場合、5月には、1回目の取水制限が発令され、それが進むと、給水制限なる可能性も十分にあり得ます。

生態系にも広がる雪不足の影響


新潟の山間部にある奥只見の今年の積雪量は例年の7割ほどしかなく、これは観測点を設置した1990年以降最も少ない量であり、例年であれば、3月下旬で2mほど積雪がある標高300~500mぐらいの山でも、すでに雪がゼロになった地域もでてきています。
これらの雪解け水が枯渇すれば、田植えの時期に必要なが不足するほか、暖かくなると虫が出るのが早まるため苗の時期に虫害が起きる可能性も高まります。
他にも、雪の下で越冬させる醸造用のブドウや干し草などが越冬できず枯れたり野兎の食害にあったり、雪がないため、広範囲にわたってシカが木の若芽を食べてしまう問題も発生しています。

日本の山林の現状


現在の日本の山林は、本来の山林が持っている筈の治水能力がない状態であり、最大の理由は、高度経済成長期に植林された人工林が放置されて枝が密集して日光が届かず下草が育たない山が増えており、
そういう山林の土は固く、雨が降っても治水されずに流れてしまいます。
このように適正な管理がされていない山林の増加に獣害が発生すると、草木の生育が阻害され、山は崩れやすくなります。
長期的に見て、東日本は今後あまり雪が降らなくなると気象庁が発表しているので、今後、生態系をはじめいろいろな産業の形が変わることが考えられます。

離農の加速化


被害が広がれば、離農が加速化する可能性もありますが、今年同様に2007年も降雪の少ない年で、北陸地方の降雪量は平年比の9%というとんでもない数字で、水不足が懸念されましたが、夏場の雨量が多かったため、中国、四国、九州では、取水制限が行われたものの、そこまで深刻な事態には及びませんでしたが、天候は、あまりにも不確定な要素が多いので、現在の日本の状態が憂慮すべき事態であることは間違いないので、都市部の人達は、今から、節水を心がけ習慣にすべきです。

渇水の発生

 
                                        出典:国土交通省

日本では、これまで1939年の琵琶湖大渇水、1964年の東京オリンピック渇水、1967年の長崎渇水、1973年の高松渇水、1978 年の福岡渇水など大規模な渇水が発生してきましたが、1994年の列島渇水の際には水道水の断水や減圧給水により一度でも影響を受けた人口は全国で約1,600万人に上り、全国で 約1,400億円の農作物被害が発生しました。
現代社会は、水の安定的な供給を前提として快適な生活や質の高いサービスが確保されていますので、水道用水が断水や減圧給水になると、食事の用意ができない、水洗トイレが使えない、など家庭生活や社会活動に大きな影響を及ぼしますし、工業用水が不足すると、工業の操業短縮や停止につながります
また、農業用水が不足すると農家は番水(時間や順番を決めて配水する方法)や反復利用の強化等を行い水を節約しますが、1994年の渇水の際には、平年の約3倍の費用が必要になりました。
さらに、水の絶対量が不足すると農作物の成長不良や枯死などの被害も発生しますので、農家が被る被害は甚大になり、この渇水問題は、例年であれば、秋口に収穫できる筈であった農作物の不作(不良)につながり、野菜類の価格の高騰などの問題が発生し、私たちの家計にも直接的な影響が生じることになります。

現代日本で利用可能な水の量

 
                          出典:国土交通省(日本の水資源賦存量と使用量)

日本の年間の降水量は約6,400億㎥(1981年から2010年までの30年間の平均値)ですが、その内約2,300億㎥(36%) は蒸発散してしまいます。
残りの約4,100億㎥は理論上人間が最大限利用可能な量であり、これを、水資源賦存量と呼びますが、実際に使われている水の量は、そのうちの809 億m³であり、平均的な水資源賦存量の約20%に相当します。使用されない3,000 億㎥ 以上の水は、海へ流出したり地下水として貯えられています。
降水量が少ない年では、この水資源賦存量・約4,100億㎥は減少し、10年に1回程度の間隔で発生する渇水年では約2,800億㎥まで減少します。

水枯渇問題(日本)について

 日本は、表面上は、きれいな水に困らない水に恵まれた国のように思われますが、過去に何度も渇水に見舞われた水資源に乏しい国であり、このままでいけば、今年も、渇水に襲われる可能性が高いです。
しかも、今年のような暖冬で雪が少ない状態は、地球温暖化により今後も続くと推測されており、今後は、日本国内でも、水資源に恵まれている地域と恵まれない地域に大別されると推測されます。
現代日本では、人口の東京集中(一極化)が進んでおり、しばらくは、この流れは止まりそうもありませんが、水資源で見れば、東京は、非常に脆い都市になります。
他にも、東京は、台風などの自然災害に非常に弱い都市になりますので、今年のような水資源の枯渇が危ぶまれる場合、命の持続性の観点から見た場合、東京一極集中は非常に危ないと思われます。
周りの地方自治体も、東京からの移住先(セカンドハウス等も有効)として候補になるように魅力度のアップと福祉や自然災害への対策に努める必要があると思います。
東京に人が集中するには、東京が便利という側面もありますが、他の都市の魅力が少ない(低い)という側面も持っています。
他の地方自治体は、東京と同じジャンル(
利便性)で勝負をしても勝ち目はありませんので、利便性を追求すること(ミニ東京化)も必要ですが、独自性を持った地方自治を行うべきです。
例えば、生物が生きていくうえで絶対的に必要となる水、電気、食料を、自治体内で完全に自給自足できる、ようにするとか、子供や高齢者に優しい地方自治を行うなど、人の流入を促す手段として有効となる政策は、たくさんあります。
現代の地方自治体が、一番してはならないことは、あれもこれも、と複数の広いジャンルに人材と予算を振り分けて、結果的に、全てのジャンルで落第点は1つもないが、特A・魅力的も1つもない、という全く特徴のない地方自治を行うことです。
水の枯渇問題や渇水問題に対する最善の対策は、水資源を消費する分母(人の数)を小さくすることなのは間違いがないことなので、人を分散化するにための政策が求められています。