農業の6次産業化 推進事業

 
  

農業の6次産業化は地方を救えるか?

 
日本の農業を支える農家は減少の一途をたどっており、2000年に全国で312万戸あった農家は2015年には215.5万戸まで減少し、農産物の販売金額が50万円以上の販売農家は、133万戸と2000年から100万戸も減っています。
農家が、これほどまでに減っている原因は、農家を取り巻く環境の厳しさにあり、海外から輸入される安価な農産物のために農産物の価格が下落し農家の収入が減っています。
また、農業の担い手の多くは高齢者であり、後継者などの担い手がいないことにより農業をやめる農家も多く、農家の減少とそれにともなう生産力の低下は、日本の食料自給率にも表れており、カロリーベースでは1975年に54%だったのが2015年には39%まで低下しています。
  

低下を続ける食料自給率の向上のために取り組むべき対策

 
その一方で、生産拡大や新たな領域にも進出しようという意欲的な農業者も増えてきており、従来のように農作物を生産するだけではなく、農産物の加工による商品開発や流通と販売も組み合わせた販路拡大により農業の魅力と価値を高めて生き残る道を探ろうとしています。
このような厳しい農業の現状を支援・改善する法律として、2011年に「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」(通称「六次産業化・地産地消法」)が施行されましたが、この法律は、
 農林漁業者による加工・販売への進出等の「6次産業化」に関する施策

 地域の農林水産物の利用を促進する「地産地消等」に関する施策

の2つを総合的に推進することで、農林漁業の振興等を図ることを目的としています。
  

1次産業から3次産業までの連携・融合

 
「六次産業化・地産地消法」には、農林漁業者(1次産業)が生産・加工・流通・販売を一体的に行うことで事業の付加価値を高め、さらに食品産業や観光産業などの2次・3次産業との連携・融合による新事業の展開や新産業の創出を行うことまでが含まれます。
地域に存在するさまざまな資源を活用して農業の6次産業化を行うことで、農林漁業者の所得向上や雇用確保など農山漁村地域の再生・活性化を狙っています。
この「六次産業化・地産地消法」に基づき、農林漁業者が単独または共同して6次産業化に関する事業計画を作成して国の認定を受けると、金融支援や農地、出荷等に関する特例といった支援措置を受けることができるようになります。
事業計画の認定数は2017年9月時点で2,200件を超えており、多くの農林漁業者が6次産業化に取り組み始めています。
6次産業化による事業は多岐にわたり、最も多い事例は、加工・直売であり、政府による事業計画の集計では2017年9月時点で全体の約7割にもなり、ほかにも、農家レストランや通信販売、輸出などの幅広い取り組みが行われています。
  

農業の6次産業化のメリット・デメリット

 
■ 事業者のメリット
 
収入の安定化
 農業が厳しい大きな理由は、収入が安定しないことにつきますが、長雨や日照不足といった天候不順で
 あれば作物が不作となり、逆に豊作になれば価格が下がりすぎて出荷調整が必要になります。
 6次産業化で加工して付加価値を付けることで、野菜を生産する過程で出る約1割の規格外野菜から利
 益が出ることで所得の向上にも貢献でき、6次産業化により市場の価格変動の影響を受けにくくするこ
 とができるようになります。
 
・ ブランド化
 農作物にも流行があり、特定の作物が注目されて売れるとほかの産地でも一斉に生産されるようになっ
 て価格が均一化しますが、そうすると、産地間の差異をつけることが難しくなり価格競争に巻き込まれ
 ることになってしまいます。
 6次産業化でブランド化を図ることによって、その地域でしか生産することができないという希少性を
 高め、差別化が図られて価格競争から抜け出すことができます。
 
ネットワーク化
 先進的な取り組みを実施することによって、ほか地域の流通業者との取引が始まったり異業種とのコラ
 ボレーションが生まれて販路拡大につながることも期待でき、同様の取り組みを行っている事業者との
 ネットワークが生まれて、情報の共有や課題解決の迅速化を図ることも期待できます。
 
・ 資金調達
 6次産業化として事業展開を図ることにより、さまざまな支援策を受けられ資金調達もその一つになり
 低利融資や税制面での優遇を受けることで初期投資の負担を軽減することができ認定事業者になること
 でより条件の良い融資制度を活用することも可能です。
 
■ 地域のメリット
 
・ 地域価値の向上
 先進的な取り組みが注目されることによって地域の知名度も向上します。
 
・ 関連産業への波及
 知名度が向上して地域の交流人口が増えれば、直接関連がない産業への波及効果も期待できます。
 
・ 雇用創出
 交流人口の増加による関連産業への波及は地域の雇用創出につながり地域経済の活性化が期待できます
 
■  デメリット
 
・ 初期投資が必要
 新たな事業展開のためには、新たな設備等への初期投資が必要となり、中小事業者にとって初期投資は
 大きな負担となります。
 
・専門的知識を持つ人材が必要
 これまでとは違う分野での事業展開となるため、その分野に通じた人材が必要となり、国としては、6
 次産業化の専門知識を持ったアドバイザーである6次産業化プランナーの派遣を行っています。
 
・法人化は避けられない
 従来の家族的な経営から企業としての経営への転換が必要となりますので、専門的人材や設備投資など
 も必要になるため法人化が必要になってきます。
   

農業の6次産業化を成功させるには

 
多種多様な地域資源に恵まれる日本の農村地域は、農業尾6次産業化によって活性化される可能性が大いにありますが、6次産業化を成功させるためには、資金、人材、ネットワークなどを整え、それらを、マネジメントする経営力が必須になってきますので、頭に汗をかく人材の選定がポイントになってきます。



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