耕作放棄地 活用


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耕作放棄地活用とは


耕作放棄地とは「農家の高齢化や後継者不足によって農地を活用できず過去1年間全く耕作されたことがない土地のこと」を言いますが、他にも「今後も再び耕作される予定がない農地のこと」も指します。
耕作放棄地は、年々、増え続けていますので国も、様々な対策を講じていますが、抜本的な問題解消には至っていません。
当社では、この耕作放棄地を活用する様々なノウハウを持っていますので、このノウハウにより少しでも耕作放棄地が減少すればと思います。

減り続ける農地


米や野菜などを作る耕地面積は、1961年の609万haをピークに一貫して減り続け、2009年には460万haにまで減っていますが、耕作面積が減少しても、耕地利用率が高ければ理論上は、少しはカバーできますが現実には、耕地利用率も92.2%と農地をフル活用できていませんので、結果として少しずつですが、着実にに農地は減少しています。
主な原因は農業従事者の高齢化や後継者がいないことになりますが、他にも、機械等が入れないなど条件が悪い農地も多いので、これらの条件が悪い農地が急速に耕作放棄地化してることが、農地は減っているのに、耕作放棄地が増え続けている原因となっています。

耕作放棄地の面積


日本では、農家や農地は減少傾向にありますので、耕作放棄地も減る筈ですが、耕作放棄地は、反対に増え続けています。
農林水産省の統計資料によると、昭和60年の時点では耕作放棄地の面積は13.5万haでしたが、平成に入ってから増加を続けており、平成22年には40万ha近くに及んでいます。

耕作放棄地の問題点

国内の食糧自給を支える役割を持つ農地でも、その使途は所有者である農家の意思が反映されますが、耕作放棄地が増えれば、様々な問題が生じますので、その影響度合いは、1個人(農家)の問題だけでは済まなくなります。
よって、耕作放棄地増加問題は、社会問題として国民全員が真剣に考えなくてはならない問題とも言えますが、農地であったところは、基本的には、農業以外に利用することが法律上できない(農地転用をすれば別)ので、農家は、自身の高齢化などを理由に野菜等を何も作らず、ほったらかしにしますが、このある意味、無責任とも言える行為により様々な問題が生じてきます。

【広義な問題】
食料自給率の低下
 
耕作放棄地の増加で、最初に懸念されるのが農産物の減産による食料自給率の低下になりますが、政府
 主導で様々な増産政策が進められていますが、耕作放棄地の増加は、この政策の足を引っ張っているこ
 とと同じです。
 
日本の食料自給率は、50年前の約半分へ落ち込んでおり、現状では、その不足分を輸入で賄うことが
 できていますが、将来的には、外国の政局不安等の問題や日本の国力低下により、何時、十分な輸入が
 確保できなくなるかは予測できません。
 そのためにも、食料自給率の低下を増進させるだけの耕作放棄地の増加は見逃すことのできない深刻な
 問題であり、日本の低すぎる食料自給率問題は、かなり前から改善の必要性が叫ばれてきま
 したが、農地や農家は減少傾向が続いていますので、そこに、耕作放棄地が増えると、ますます、食料
 自給率が下がりますので、自国内で自国民の食料を賄えない国は非常に不安ですので、ちょっとしたき
 っかけで、日本は、深刻な食糧危機に陥るリスクと常に隣りあわせと言えます。

農地の集積・集約化への影響
 人は誰しも歳を取りますので、これ以上の生産農作物の減少を抑えるために必要なのは農業従事者の高
 齢化によるリタイア後の農地の維持・保全・管理対策になりますが、1つの方策としては、農地の集
 積・集約化がありますが、耕作放棄地は、放棄されてからの期間が長くなれば、耕作農地として復元す
 るのに大きな労力と費用が必要になるので、直ぐに、農地として利用することができませんので、耕作
 放棄地が増え、
点在してしまった場合、その地域の農地の集積・集約化は非常に困難になります。

環境への影響
 
農地を放棄していると大量の雑草が生い茂り、農薬を使わないので害虫も増え、耕作放棄地は、雑草や
 害虫の溜まり場となってしまいます。
 これを放置すると、その雑草の種子や害虫が周辺に飛散していき、歯止めがきかない状況となりますの
 で
、耕作放棄地があると周辺環境を悪化させてしまい、景観も悪くなり、近隣に農家がある場合には、
 他人の農地にも、害虫被害が及ぶことになります。
 また、山間部の農地を放棄していると近隣の集落に鳥や獣による被害が発生します。
 これは、農地があると、そこが、折衝体となって、農地の作物被害は生じるかもしれませんが、それ以
 上、鳥や獣が集落内に入ることは食い止められますが、耕作放棄地が増えれば、鳥や獣の侵入を止める
 手段がないので、
熊や猪などが町中に進入してきやすくなりますので、
近年、熊や猪が集落に現れると
 いったニュースが多くなったのも、耕作放棄地の増加が原因の1つと言えます。

ゴミの不法投棄問題
 
人の存在がない空き地はゴミの不法時の対象になり、特に、田舎の耕作放棄地であれば、不法投棄も人
 の目を気にせず行えるので、一層、不法投棄されることになりますが、ゴミの不法投棄は、美観を損な
 うことにもなり、周辺の生活環境を悪化させる原因の1つにもなってきます。

洪水被害の抑制
 
農地が利用する水は河川から引くことになりますので、これだけでも、河川水位を引き下げる効果を発
 揮しますが、保水能力の高い農地は洪水防止効果も発揮します。
 これは、あぜ道によって囲まれた農地は、一定量まで貯水することができ、地下へ浸水することで河川
 への流出を防止する機能を保持していることになりますが、耕作放棄地は、この保水能力が著しく損な
 われます。
 耕作放棄地は、保水能力が落ちてしまうので、雨水が河川に流出しやすくなり、河川からあふれ出した
 水をせき止める力も落ちるので災害による被害を受けやすくなります。

【狭義な問題】
土地の価値が下がる
 
農地として利用することが困難な場合、農地としての価値もなくなり、宅地などに転用するとしても、
 多額の造成費用がかかってしまいますので売却できたとしても二束三文になります。

固定資産税が上がる可能性がある
 
農地は、食料を生産するという大きな役割がありますので、宅地などと比べ固定資産税が大幅に低く抑
 えられています。
 これは、宅地に隣接した農地も同様ですが、耕作放棄地になると「もはや農地ではない」とみなされ農
 地よりも、固定資産税が高い「雑種地」と認定され、固定資産税が上がることがあります。

農地のまま放棄する理由

日本では、減反政策補助金により米(コメ)の価格が維持されているので、零細な兼業農家でも農業を続けていますが、農地を相続した人たちの中には、宅地やショッピングセンター、工場などに転用すると利益が転がり込むとの期待から農業をしないが農地を手放さない「農地だけを持っている農家でない人」も非常に多く存在します。
この人たちにとって、農地は農業をするモノではなく転売して儲けるモノになりますので
、固定資産税が低い農地のままの方が儲けが大きいので、耕作を放棄した耕作放棄地が増えることになります。
ただ、農地と言っても、一般農地と市街化区域農地に分かれており、一般農地の固定資産税は10aあたり千円ほどなので、宅地として転売できた場合、利益は大きいかもしれませんが「固定資産税が低いということは土地としての価値も低い」ことなので、その様な土地を購入する人が出てくるか自体に疑問符が付きます。
市街化区域農地は、立地場所により固定資産税にかなり幅があり、数万円~三大都市圏の特定市の市街化区域農地では数十万円にもなりますので、その農地のある場所により金額が変わってきますし、これからの日本では、高齢化や少子化による人口の減少が加速していきますので、そもそも論として、よほど利便性が高い農地でなければ、買い手は付かないと思いますし、買い手が出てきても、希望通りの金額で売れる可能性は低いと思います。

耕作放棄地が増える理由

土地持ち非農家の急増
日本の耕作放棄地の問題は、農業者の高齢化、農業後継者の減少、機械化が進んだ結果、条件の悪い農地を活用しない、土地持ち非農家の増加などが複雑に絡み合っていますが、耕作放棄地は、雑草が生え害虫が発生する、農地がもつ災害防止機能の喪失、景観の悪化など環境へ与える悪影響も多くありますので、これは、個人としての問題だけでなく周りの地域も巻き込んでいますので、耕作放棄地問題の根は深いと言えます。
耕作放棄地問題の大きな要因に後継者不足がありますが、これは、農業従事者であった親が高齢になり、離農する際に、近隣の農家に農地を売却できず、そのまま、持ち続けたまま亡くなってしまうと、相続人である子供は遠隔地に住んでいたり、すでに職に就いていることが多いので、実家に戻って農業を行うことは不可能に近いので「耕作を放棄するしかない」となり、結果的に、耕作放棄地になってしまうという流れも、近年では増えてきています。

新規参入を厳しくしている時代に合わない「農地法」
農業に新規で参入するには農地が必要になりますが、農地の購入については「農地法」により制限が定められており、宅地の購入のように「農業を始めたいから農地を購入しよう」とは簡単にはいきません。
農地を購入するには、地方自治体にある農業委員会の許可を得る必要がありますが、最大の障害となるのが、農地を購入できる人は「農家もしくは農業従事者だけ」という点です。
よって、せっかく農業を始めたいという人がいても農地を購入するには、まずは農業経験を積んで農業従事者と認められる必要が出てきますし、他にも、露地栽培の場合、農業機械等の初期投資費用が高額になる上、収穫まで収入が途絶えてしまうというデメリットもありますので、高額な初期投資費用と収穫までの自己持ち出しが多いため、誰でも簡単に始められる職業ではないということになります。
このような参入するまでの高いハードルも、農業への新規参入者が少ない大きな理由と考えられます。

耕作放棄地活用について

耕作放棄地の増加問題は、食料自給率の低下だけでなく、我々の生活環境への影響も大きく、荒廃農地の増加問題同様に非常に深刻な問題です。
その点については行政サイドも理解しており解消するために再生政策を進めてはいますが、どれも「小手先感」が否めず、様々な対策が講じられてはいますが、その
対策が実を結んではいません。
この問題は、ただ単に農業従事者を増やせば良いという問題ではなく、所有者である土地持ち非農家の営利問題が関係するなど簡単に解消できる問題ではないので、行政サイドができる対策としては、新規で農業に参入する際に高いハードルとなっている規制(障害)を、抜本的に変革を行い新規参入のハードルを下げるところから始めるべきです。
これは、行政サイドが本気で向き合えば実現不可能な問題ではなく、取り急ぎ、行わなければならないのは、これ以上、後継者不足を理由とする離農者を増やさない政策であり、かつ、高齢化により営農が持続できない農地を新規参入者に優先的に提供するシステム構築が重要となります。
この2つの政策は、耕作放棄地の増加の防止とさらにひどい状態である荒廃農地の増加の防止に対する防波堤(新規農業従事者の増加による農地の有効活用)の役割になるポテンシャルが十分になりますので、早期に実現化すべきです。
この2つの政策の最大のメリットは、行政サイドの視点で考えると、費用が掛からないということになります。
行政サイドに求められているのは、耕作放棄地になる前の休耕地を新規農業参入者に、いかに早く提供できるかにかかっており、これが達成できれば、これ以上の耕作放棄地や荒廃農地の増加は防げ、かつ、時間はある程度、必要ですが、復元の可能性が高い耕作放棄地の撲滅を目標に、少しずつではありますが着実に形にするべきです。
行政サイドの役割は、これ以上の荒廃農地や耕作放棄地の増加を防止できる、過去に捕らわれない新しいスキームの構築とそれを実行する実行力になってきます。
その他については、荒廃農地の活用と同様になりますので、ここでは、割愛します。




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