小水力発電 推進事業

 
 

小水力発電とは


世界的には、各国統一されておりませんが、日本の電力業界やESHA(ヨーロッパ小水力発電協会)では概ね10,000kW以下を小水力と呼んでおり、IEA(国際エネルギー機関)の水力実施協定では、特に定義せず、ダムなどの大規模開発などが伴わない環境に配慮したものとして扱っています。
一方、日本の法律では、1,000kW以下と1,000kWを超える水力が明確に区分されており、 1,000kW以下の水力発電は、新エネルギー法の施行令改正(2008年4月施行)により「新エネルギー」に認定されておりRPS法では、1,000kW以下の水力発電は、RPS法の対象となっています。
 

小水力発電は環境配慮型


小水力発電は、
大規模ダム(貯水池式)や中規模ダム(調整池式)とは違い、河川の水を貯めること無く発電方式の分類では、流れ込み式または水路式となり、河川の水の流れを、そのまま利用する発電方式ですので、一般河川、農業用水、砂防ダム、上下水道など、現在、無駄に捨てられているエネルギーを有効利用できます。

小水力発電の特徴(太陽光、風力との比較)


昼夜、年間を通じて安定した発電が可能であり、設備利用率が50~90%と高く、太陽光発電と比較して
    5~8倍の電力量を発電できる。

・出力変動が少なく、系統安定、電力品質に影響を与えず、経済性が高い。

・太陽光発電と比較して、設置面積は小さくて済むが、
設置地点は限られる。

・水の使用について、利害関係が付きまとい、法的手続きが煩雑で、面倒である。

・太陽光発電や風力発電に比べ、法的な規制や多くの申請を必要とする場合がある。
 
・同じ再生可能エネルギーでも、小水力に関する一般市民の認知度が低い。

小水力開発の特徴とポイント


開発可能な包蔵水力は、地域により差がある。
平野の市町村と、山間部の市町村では大きな差があるので、ポテンシャルの乏しい市町村では、無理に小水力開発を行う必要はありません。

地点毎に経済性が異なる。
NEF(新エネルギー財団)のハイドロバレー開発計画調査でも、kWhあたりの建設単価で、50円/kWh~1,000円/kWhの違いがあります。

地点毎に法的手続きの難易度が異なる(特に河川法)。
一級河川からの取水と、普通河川からの取水では、その手続きの難易度には雲泥の差があります。
農業用水路でも、取水する河川の種別や、既得水利権の種類(許可水利権、または 慣行水利権)で手続きの難易度が異なります。

技術的問題はほとんど無きに等しい。
水力発電技術は、ほとんど確立されているため、技術的問題で開発ができないということはありません。

経済性が重要。
環境PR、教育目的だけでは行き詰まるので、売電収入や電気料金削減費用により、維持・管理できることが重要です。

法的手続きの容易な地点から開発する。
河川法の許認可手続きには、多大な費用、時間、労力が掛ることがあります。

2020年代は小水力発電が急成長


水力発電と言えば、時代遅れのエネルギーと思われ、長い期間、火力発電や原子力発電に発電事業の主役を奪われた形でしたが、
東日本大震災での原発事故により、再生可能エネルギーが、一躍脚光を浴び、太陽光、風力、地熱、バイオマスともに中小水力発電も加わり、この流れが変わり始めました。
2012年に、固定価格買取制度(FIT制度)がスタートした当時は、華々しい話題が多かった太陽光発電と比べると影が薄かったですが、太陽光発電を始めとするほかの再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)単価の下落により、ついに、水力発電の順番が来ました。
2016年度に490億kWhだった中小水力発電の発電電力量は、2020年度に4.2%増の511億kWh、2030年度に21.0%増の593億kWhへ拡大すると予測されており、発電電力量のうち、FIT適用分については、2016年度の20億kWhが2020年度は2倍の40億kWhに、2030年度は、約6倍の119億kWhへ急成長する見通しです。

再生可能エネルギーの主役の交代

 
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2012年度にスタートした固定価格買取制度(FIT制度)は、再生可能エネルギーの1kWあたりのFIT調達価格(税込み)が「調達価格等算定委員会」によって年度ごとに改定されており、2019年度のFIT調達価格は、中小水力発電は21~34円(調達期間20年)で、地熱発電よりは安いですが、太陽光、風力、バイオマスと比べても、損傷がない単価になっています。
これまで、再生可能エネルギーの花形だった太陽光発電のFIT調達価格は、FIT制度が発足した2012年度は、単価も42円(10kW未満・10年)と高かったですが、当時と比較して、2020年度には、50%に引き下げられ、産業用(10kW以上2000kW未満・20年)も、2020年度には、33%引き下げられています。  
陸上風力発電も、年度が替わる度に、引き下げられ、2019年度には、16~19円になりました。  
対して、中小水力発電のFIT調達価格は、200kW未満のマイクロ水力は34円、200kW以上1000kWの小水力は29円で、2012年度から2019年度まで一度も変わっておらず(1000kW~3万kWの中水力は2017年度に手直し)しかも、この単価は、2021年度まで据え置かれることになっているので、中
小水力発電の調達価格は、すでに太陽光発電を逆転し、それを上回っています。
2014年度から買い取りが始まった調達価格が安い既設導水路活用型も、200kW未満では、住宅用太陽光発電と肩を並べる水準になっており、
これは、相対的に中小水力発電が、太陽光発電と入れ替わって再生可能エネルギーの成長株になりつつあることを意味しています。
現状の調達価格は、地熱発電やバイオマス発電の一部、洋上風力発電のほうが高いですが、規制が非常に多く事業化に時間と費用がかかり、火山地帯でないと利用できない地熱、特殊な技術が必要なバイオマス、保守管理が大変な洋上風力と比べると、中小水力発電は、水流があるところならどこでも水車と発電機があれば発電ができ、小回りがきき参入しやすいという他の再生可能エネルギーにはない優れた特徴があるので、これからの、再生可能エネルギー世界の主役は中小水力発電である、と言えます。

国のエネルギー政策も中小水力発電に好意的


中小水力発電は「知られざる成長分野」と言えますが、2020年代に、これほどまでの成長が予想されるのは、現在の国のエネルギー政策が、中小水力発電に対して非常に好意的という点にあります。
これまで、再生可能エネルギー世界の主役だった太陽光発電は、これ以上の増加を、国は望んでいないと思う程、年々、規制が厳しくなっています。
この規制の厳しさは、中小水力発電を除くすべての再生可能エネルギーも同様ですが、中小水力発電だけは、
2017年のFIT法改正の嵐をくぐり抜け、調達価格が引き下げられず、2021年度まで一定であることは中小水力発電が政府から優遇されていることを意味します。
その理由は、中小水力発電よりも先にスタートした太陽光発電や風力発電は、業界が十分に成長したのですでに自立化を促すフェーズに入っていますが、遅れてスタートした中小水力発電は、コスト構造にまだ懸念があるので、国が当分の間、FITによって政策的に助ける必要があると判断されているからです。
実際に、出力200kWの中小水力発電のコストは、2011年12月の内閣官房国家戦略室「コスト等検証委員会報告書」によると、建設コストが1億6000円~2億円、発電コストが1kWあたり19.1~22.0円で、発電コストは、住宅用太陽光発電(9.9~20.0円)、陸上風力発電(8.8~17.3円)、地熱発電(9.2~11.6円)、混焼バイオマス発電(9.5~9.6円)よりも割高と計算されています。
しかし、
コストパフォーマンスを向上させる技術開発や量産効果によって初期コストが引き下げられても国の保護政策で、FIT調達価格が高止まりのままなら、事業の収益性が大幅に改善すると考えられ、これが、中小水力発電が、2020年代に急成長のフェーズに入ると予想される要因になります。
万が一、2022年度以降、太陽光発電や風力発電の後を追って調達価格が引き下げられる時期が来るとしても、最短でも3年間は、再生可能エネルギー世界で、最大のビジネスチャンスが、そこに存在します。

中小水力発電は、山が多く降水、量が多い日本に、もっとも適した再生可能エネルギーであり、小川や用水路や池は、それこそ無数にあるので、近い将来、そこに設置された水車と発電機の数が、発電用風車や太陽光パネルの数を上回る日が、いずれやって来ます。

小水力発電について


農業用水路は、日本中、どこにでもありますが、農業用水路の長さは、合計すると約40万km(地球10周分)にもなり、そんな網の目のように張り巡らされている水路に、水車と発電機を設置することで発電できるのが中小水力発電になります。
中小水力発電は、落差が大きく流量が多いほど多くの電気を発電することが可能ですが、農業用水路は、落差は小さいけれど流量は多い地点や落差は大きいのに流量が少ない地点など、場所によって特徴が異なるので、条件が完璧に揃った場所を見つけるのは大変ですが、見つけられれば、数百kW程度の発電ができる地点もあります。
農業用水路を利用する場合、農家にとってもメリットがなければ設置の同意を取ることは難しいですが、中小水力発電で得た電力を、土地改良施設の管理や維持、整備のための電力に使用する、という理由があれば、土地改良施設の重要性を理解している農家や管理組合からの同意は得られやすくなります。
中小水力発電は、環境保全にも貢献できる再生可能エネルギーであり、太陽光発電や地熱発電、風力発電などのように環境を破壊することはなく、中小水力発電の農業用水路への設置は、その地域の農業や人々の生活を助けることもできるため、地域活性化のツールとしても役立ちます。
日本国内に昔から造られている農業用水路を利用して、地球にやさしいエネルギーを作り出せる中小水力発電が、これからの日本の再生可能エネルギー世界の主役に躍り出てくるのは確実です。



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