求められるペット同伴避難所

 
 
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同伴避難と同行避難

 
西日本豪雨の際、行政主導で全国初と言われる飼い主とペットが同じ場所で過ごせる避難所として、ペット同伴避難所が開設されましたが、2011年の東日本大震災では自宅に取り残されたり、飼い主とはぐれたりしたペットが放浪するケースが多発し、ペットを保護しても飼い主のもとへ返すのに苦労したという結果を踏まえ、環境省はガイドラインなどで飼い主に対し災害時に自宅などから避難する場合はペットと同行避難するよう呼びかけていますが、同伴避難と同行避難は、文字は似ていますが、全く違うモノになります。

ペット同伴避難とは

 
地方自治体が推奨する同行避難に対し、現代では、同伴避難が求められています。
同伴避難とは、飼い主とペットが同じ場所に避難することであり、基本的には、ペットはゲージに入れて避難生活を送ることになります。
同伴避難のメリットは、飼い主は、自宅にいる時と同様とは言えませんが、家族であるペットと一緒に居られることで癒しや安心感を得られ、ストレスがたまりやすい避難所生活でもストレスの軽減を図ることができます。
また、ペットの立場でも、飼い主と一緒に居られることで安心感が高まり、ストレスを感じにくくなるので、無駄吠え等の迷惑行為をしにくくなります。

ペット同行避難とは


2016年の熊本地震では、多くの被災者がペットと同行避難しましたが、同行避難とは、飼い主(避難者)は体育館などに集合避難し、同じ場所にある施設にペットだけを避難させることであり、ペットの飼い主(避難者)とペットは別々の場所に避難することになります。
これは、
避難者が共同生活を送る避難所には、動物が苦手な人やアレルギーを持つ人もいるためですが、これが原因で、飼い主の中には避難所へ行くことをためらったり、車中泊をしたり、倒壊の恐れがある自宅へ戻ったりするケースが見られましたので、これでは、何のための避難なのか本末転倒になりますが、このお粗末な制度が今の日本の現実です。

ペット同伴避難所に必要なモノ

 
ペット同伴避難所の開設に必要な人(職業)は、ペット同伴避難所の開設に理解があり、その対策を実現できる実行力のある首長(避難している飼い主にとってペットが心のケアになっていることを理解でき、飼い主の心のケアを優先できる首長)と、それを実現する能力のある
職員、サポート役としての専門家である獣医師と訓練士が挙げられます。
このような人たちが揃えば、飼い主とペットが同じ室内で一緒に過ごせるペット同伴避難所の開設が可能になり、また、専門家の話を素直に聞く飼い主の心(気持ち)とルールの厳守も重要になります。
最低限のペットの躾(しつけ)は飼い主の最低限の責任になりますので、無駄吠え等をしないよう日頃からの躾が最も重要とも言えます(それが、飼い主とペットの幸せにつながります)。

ペット同伴避難所開設の課題

 
地方自治体の基本スタンスは、災害時の避難所では、ペットは、避難者が生活する場所とは別で屋根のあるところなどで受け入れる、ですが「現在は室内飼いのペットが多いので、その基本スタンスが通用しなくなってきていますので、地方自治体サイドには柔軟な対応が求められます。
災害時に、大切なペットとどう行動するか、どのようにして飼い主とペットを支援するのかの問いに対しての正解はありませんが、ペットを飼っている人もそうでない人も、地方自治体も、それぞれの立場で考え、自然災害にとは間違いないことだと思います。

廃校はペット同伴避難所として最適


ペット同伴避難所の
一番の課題は開設場所の確保ですが、
体育館や公民館、ホールは不特定多数の人が使いますし、その中に動物アレルギーの人がいる可能性もありますので、ある程度の隔離は必要になると思いますが、その際に最適な場所と言えるのが廃校です。
学校であれば、校庭を含め車を置くスペースの確保もでき、ある程度の大型車の出入りも可能です。
最大のメリットは、教室という個室スペースが初めから確保されているので、例えば、2階は、ペットを連れていない人のスペース(避難所)、1階は、ペットを連れている人のスペース(避難所)というように完全に隔離することが可能です。
また、階段を使い分けることにより、両者を、完全に隔離することもできるので廃校は、ペット同伴避難所としては最高の施設と言えます。

熊本では専用避難所に殺到

 
熊本市は、平成26年に初めて殺処分ゼロを実現した動物愛護の街ですが、実際に、
厚生労働省などによると熊本県の犬の登録数は約11万2000匹(平成24年度)と人口100人当たり6.19匹と九州地方で最も多くなっています。
熊本市動物愛護センターには、熊本地震の後に
避難中にはぐれたとみられる迷い犬などが約35匹保護されましたが、そんな先進的な思想を持つ熊本市でもペットを取れていない避難者からは「家に置いてくるよう説得された」「人に飲ませる水もないのに、犬に飲ませるんかと言われた」などの無理解・無知な非難の声が上がり、避難所へ入れず車中泊を続け、犬が、熱中症になるケースもあったそうです。
このようなことを繰り返さないように、地方自治体は、
避難所運営マニュアルに、避難所側がペット同行者に配慮するように記載し、そのことを周知徹底する義務があります。

求められるペット同伴避難所について

 
現在の日本は、人に対する人権も軽くなっているので、ペットである動物に対して冷たいのは当然と言えば当然ですが、それが、当たり前という社会は非常に冷たく生きにくい社会と言えます。
実際に、過去の自然災害時に、飼い主(避難者は、自分の意志とは無関係で避難所生活を強いられますがその際に、ペットを連れている人たちが行き場が無くなり困っています。
これには、飼い主サイドに問題がある場合もあり、例えば、日ごろの躾不足による夜泣きや無駄吠え等が他の避難者の精神的ストレスを増幅させるとか、ペットの糞尿をめぐるトラブルなど、飼い主サイドがペットのことを考えて最低限の躾をしていれば防げることが多々あります。
ですので、ペットの飼い主は、ただ単に猫かわいがるだけではなく、万が一の時に、ペットが慣れない環境でストレスを感じても、無駄吠え等をしないよう日頃から躾をすることにより、飼い主自身とペットが避難所生活から受けるストレスを軽減化することができます。
飼い主は、ペットは自分の鏡という意識を持ち、慣れない環境に行けば、不安になるのは人もペットも同じです。
人は、言葉に出して相手に伝えることができますが、ペットは言葉を発することができないので、吠えるしかできません。
つまり、ペットが、無駄吠えをするのはペットの不安の表れとも言えますので、ペットのことを大事に思うのであれば、躾は非常に重要であり、それが、ペットの幸せにつながることを飼い主は、本当の意味で理解すべきです。
ペットには、何の非もありません。
非があるとすれば、それは飼い主である貴方や貴女にあります。
地方自治体は、避難所はペット受け入れを前提に開設しなければならないことを前提としたマニュアル作りを行うべきであり、飼い主サイドも、ペットを家族の一員と思うのであれば、ペット用の物資(エサなど)をあらかじめ準備しておくなど飼い主としての自己責任を示す姿勢が必要になります。
ペットは、家族の一員と言いながら、万が一の自然災害時等にペットの餌や飲み水などを用意していない飼い主は、ペットを飼う権利はないと思います。
ペットは飼い主を選べないのですから、飼い主は、ペットに対して責任を持つべきであり、責任が持てないのであれば、ペットが可哀想ですから、そのような人は、ペットを飼うことは諦めるべきです。

また、地方自治体は、そのことを理解した上で、ペット同伴避難所の適切な開設場所の確保と運営を行う義務があります。
ペットに優しい地方自治体は人にも優しい地方自治体になれますので、住民満足度の向上(CSR)にもつながる考え方になります。