本格的に始まった人口減少

 
 

本格的な人口減少時代

 
日本は、本格的な人口減少時代に突入しましたので、これからは、毎年、50万人単位で人口が急激に減少していきます。
これからの日本は、人口減少・超少子化・超高齢化が急速に進み、世界で唯一、3つの大きな問題と対峙することになりますが、国が、今までのように、無策・無能・問題先送りでは、日本という国の消滅=財政破綻します。

少子化を加速させる日本の社会

 
日本は、女性が出産・子育てをしようとすると、一部の職場を除くと
 
① 「仕事」を取るか?
 
② 「子供」を取るか?
 
の選択を迫る社会で、子供を取ると仕事を辞めざる得ない社会ですので、これでは、一番、お金が必要な時期に仕事を辞めることになるので、仕事を取らざるえなくなる層も少なからずいますので、これらも、少子化の原因になっています。
また、多くの人が誤解している出生数について、日本の既婚者の出生数は、1970年以降も2.0台をキープしており、近年では若干ですが、その数値は上昇傾向であり、日本の合計特殊出生率が低いのは、
 
① 出産適齢期の女性が結婚をしない
 
② 子供を産まない
 
ことを選択するケースが増え、現在でも出産適齢期の約10%の女性が結婚をしない・子供を産まないことを選択しています。
これは、男女間格差の是正の面からは好ましいですが、2030年頃には、この選択をする女性比率が30%近くまで増えることが予想されている点が問題であり、そうなると残り70%の女性だけで2.00を達成には、1人あたり3人以上産む必要があり不可能ですので、良く言われる
 
・フランス並みに手当てを充実させれば出生率が高まる
 
・フランス並みに手当てを充実させないと出生率が上がらない
 
という主張は、大きな間違いです。
現政権のように、
何の方向性も持たず場当たり的な政策しか打ち出せない国(政治家)は、これ以上、出産や子育てに介入すべきではなく、国がすべきことは、出産や子育てがしやすい社会環境の整備になりますので、保育所が足りない、子供を預ける場所がない等ありますが、それらは一因なので、そちらに予算を振り分けるのであれば、出産等に係る費用を予算化すべきです。
   

人口減少問題

 
人口減少は、地方衰退に直接つながるので地方活性化や地方創生対策が講じられていますが、今後の日本は
 
① 人が集中する大都市
 
② 衰退する地方
 
に2極化される極点社会になり、これにより、人口減少がさらに加速化して、国全体が縮小していく社会になると予想されています。
  

人口減少問題対策

 
不都合な真実を正確かつ冷静に認識する     
 人口減少は、待ったなしの状態であり眼前に迫っている超高齢問題や超少子化問題を、多くの国民は
 十分に認識していないので、人口減少社会の実像と今後の対応のあり方に関し国民の基本認識の共有が
 必要です。

対策は早ければ早いほど効果がある       
 人口減少問題は効果が出るまでには長い時間が必要なので、日本人特有の問題の先延ばしはしないこと
 が重要です。
 
長期的かつ総合的な視点から有効な政策を迅速に実施する       
 人口減少に関わる課題は長期的な視点から考える必要があり、社会経済全般、子育て支援、産業、雇
 用、住宅、地方活性化など総合的な取組が必要です。
 
高齢者政策の見直し等によって対応する     
 高齢者政策の見直しにより、多額の債務を抱える将来世代に負担のツケ回しを避ける政策が必要です。 
 
若者や女性が活躍できる社会を作る
 
間違った政策は時間と資金の無駄遣いであり、時代錯誤の政策を提言する評論家やコンサルタント会社
 の言うことは聞かない。
    

これまでの人口減少の主因は死亡者の急増

 

これまでの人口減少の主因は、死亡者の急増です。
日本が、1920~40年頃「産めよ、殖やせよ」を国民に強く奨励し、そのときに生まれた人達が、1980年代後半以降、死亡年齢に達し、大量に亡くなり人口が減少しています。
日本の死亡者数は、戦後から1980年代半ばまで毎年おおむね70万人前後・1985年には75万人・1990年に82万人・1995年に92万人・2000年に96万人・2005年には108万人となり、ついに出生者数を追い越しましたので、これまでの人口減少は、超高齢化した人口の塊が一気に減っているわけであり、地方の人口減少も、東京に若者が出て行ってしまうため、という間違った認識が広まっていますが、地方に大量にいる高齢者が次々と亡くなっている影響のほうが大きいです。
     

これからの少子化は、子供を産む年代の女性人口の激減

 
■ 2010年~2016年の25~39歳の女性の数:国連の推計
 日本アメリカイギリスフランス
女性の数 ▲55.1% 23% 5.2% 4.2%
 19歳以下の子供の数 ▲53.0% 21.9% 13.7% 8.4%
 
子供を産む確率の高い25~39歳の女性の数が、2010~2060年の50年間で55.1%も減るなど尋常でない減少数になっている主因は、日本が行なった1950年4月の「優生保護法」改正であり、これにより、それまでの260万人から最も低い1961年には160万人と100万人も減少し、その後20年にわたり出生率が低迷したので、この期間の出生者数の大幅減が、子供を産む年代の女性人口の激減の主因です。
この悪法の中の悪法による国民の生命倫理欠落は、中絶率50%超というモラルハザードになり、日本は、少子化対策の前に、子供の命は誰のモノか?の議論こそが必要です。
    

少子化が主因になるのは2030年代以降

 
2030年代半ば以降の人口減少の主因となる少子化についても根強い誤解があり、
 
これまでの、少子化の原因は、出生率の低下です。
 
これからの、少子化の原因は、子供を産む女性の数の激減です。

2030年代前半までは高齢の死亡者は増え続け、それまでは、人口減少の主因は死亡者の急増であり、それ以降で初めて少子化が人口減少の主因になります。
     

既婚女性が産む子供の数は減っていない

 
出生率(合計特殊出生率)についても、間違った認識が主流を占めていますが、既婚女性(有配偶者女性)の出生率は2.0台と生涯に平均2人の子供を産んでおり、中長期的に見れば微増傾向にあります。
出生率が低い理由は、結婚をしない女性や子供を持たないと決めた女性が増えていることが原因であり、女性の生涯未婚率(49歳を越えて未婚の女性が対象)は10.61.%に上り、試算では、2040年には、この比率は30%近くにまで達する見込みですので、中・長期的に見ても、日本では、人口回復の兆しは見られないとなります。
   

65歳以上の人口の割合

 
市区町村の半数近い785地方自治体(全自治体の46.6%)で人口が2~4割以上減少し、2010年と2040年を比較して
 
・4割以上の減少が 385(同22.9%)
 
・0~2割の減少が 433(同25.7%)
 
これに対して増加に転じるのはわずか80(同4.8%)しかなく人口減少は地方自治体にとっても避けては通れない問題と言えます。
また、高齢化率が40%以上を占める自治体は2010年の87(全自治体の5.2%)から、2040年には836(同49.7%)まで増加し、地方自治体の約半数が65歳以上人口を大幅に(40%以上)抱え込むことになり、地方自治体の機能不全が全国で多発する可能性が高くなっています。
      

生産年齢人口が半減する社会の持続可能性は0(ゼロ)

 
 2015年2030年2060年(2015年比)
総人口12000万人11000万人8673万人(▲38%)
生産年齢人口(15~64歳)6834万人5949万人3847万人(▲56%)
 
  
日本の生産年齢人口は、今後40年でほぼ半減しますが、働く人が半分になるということは1人当りの生産性を倍にしないとGDPも半分になります。
GDPが半分になったら、今の半分の福祉が限界であり、福祉を必要とする人は今の倍になりますので、実質、今の1/4になってもおかしくないわけです。
2060年には日本自体が消滅する恐れがあるので「小さな財政=小さな政府」を目指すべきです。
   

出生数を上げるだけが人口対策ではない

 
今の日本には、元気な高齢者が沢山いますので、この元気な高齢者のセカンドライフの地に選んでもらえるような有効な政策を打ち出し元気な高齢者の流入により人口を維持・増やすことも短期的な視点では重要な人口対策です。