外資に国民の命を売る水道民営化

 
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外資に国民の命を売る水道民営化とは


「種子法廃止」と同レベルの愚策と言える
水道民営化法案が、2018年に可決されて数年が経ちますが、水道民営化とは、言葉の通りで、これまで、地方自治体が責任を持って行っていた水道事業の運営権を民間事業者に売却できる法案になりますが、非営利組織である地方自治体から営利企業である民間事業者の運営権が渡った地域の水は、命をつなぐ水からお金を生み出す水に変わります。

水道民営化のきっかけ


2018年6月18日の大阪北部地震により、表面化した水道管の老朽化問題がきっかけであり、
水道民営化が可決されたキーワードは、①水道管の老朽化②人口減少③コンセッション方式がありますが、一番問題となっているのは、水道管の老朽化問題になります。

深刻な問題である水道管の老朽化問題


日本の水道管の多くは、1960年代~70年代の高度経済成長期に整備されたので、今後、老朽化した水道管の更新需要は全国で同じタイミングで増え続け、その需要は、年々、増加していきます。
現在、水道管の耐用年数と言われている40年以上を超えて使用されている水道管は全国で約10万kmもあり最大の問題が、更新費用が1kmあたり1億円以上もかかることです。
水道管の更新は、早急に対処しなければならないことは、管理者である地方自治体でも理解していますが高額な予算が必要となる水道管の更新は、資金と人材が不足している現状では、かなり困難と言えます。
日本中の老朽化した水道管を、すべて更新するには130年かかると試算されており、今後、少子化・高齢化・人口減少が進めば、水道料金の値上げも、どんどん進んでいくことになります。

人口減少問題


これまでの日本の水道事業の運営は、基本的には、徴収した水道料金で運営や設備の補修などが賄われてきましたが、日本で急速に進んでいる、人口減少により水の相対的な使用量が減ることにより、水道料金の収入(流動性収益)は減少していっていますが、水道事業の大部分は、設備維持費などの固定費なので人口減少で水道の使用量が減っても大きく運営コスト(経費)は下がりませんので人口減少による水道料金の収入(流動性収益)減少は、そのまま、水道事業の維持を困難にします。
これを裏付けるように、厚生労働省の試算では、約40年後には水の需要は約4割減少するとしており、現在でも、地方自治体が運営する水道事業は全国で約3割が赤字なので、
毎年、水道料金は値上げされており日本政策投資銀行は、このままいけば、水道料金は、30年後には6割も上がると試算しています。

コンセッション方式


水道民営化が可決されたキーワードである、コンセッション方式とは、利用料金の徴収を行う公共施設について施設の所有権は公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に委託する方式であり、この方式は、
高速道路、空港で実施した例があり、民間企業のコスト管理から収益を得るノウハウを活用するというものになっています。
日本は、今回の
水道民営化に、この方式を採用したわけですが、この方式は、空港施設や高速道路には適していても、国民の命にかかわる水道業務に関して営利目的の民間企業を活用するのは危険です。

小さな地方自治体は見捨てられる

水道民営化が現実化した場合、水道事業を運営する民間企業は営利団体なので、利益を増やす手段としてコストを削減しますが、コスト削減=不採算部分のカットですから、住民サービス(安価な水の提供)が削減(値上げ)される可能性もでてきます。
そもそも、人口減少による料金収入の減少が、地方自治体の水道事業の運営を困難にしているのに、人口減少が目立つ地方自治体や規模が小さな地方自治体は、民間企業には、何の魅力もない顧客なので、営利を求める民間企業に、そういった小さな地方自治体は相手にもされないと思います。
そうすると、水道民営化で民間企業が参入をするのは、ある程度の人口規模がある地方自治体に限られ、
人口減少が顕著な小さな地方自治体は、見捨てられることになります。
水道事業は、たとえ不採算でも、絶対に必要な住民サービスの筈であり、本当に困っている地方自治体にとって何の救済措置にならない水道民営化は、本末転倒の、悪法になりますが、水道事業の民営化を行った地方自治体が、その事実に気が付いたときは、時すでに遅しです。

水道民営化は小さな地方自治体には意味がない

国が検討している水道事業の地方自治体の広域連携は、複数の小さな地方自治体を1つのグループにしてサービスコストの効率化を図ろうとするものですが、広域連携しても採算性が悪ければ、民間企業は、切り捨てる可能性が十分にあります。
広域連携について、
厚生労働省も、水道事業民営化が実現しても小規模地方自治体には効果がないことを認めており、民間企業サイドであれば、コスト削減のため意図的に老朽化した水道管の補修を限界まで引き伸ばすことを考え、水道管の更新作業を行わない可能性もあります。
いずれにせよ、水道事業民営化は、小さな地方自治体には、意味がないことになります。

世界的には、再公営化の流れ

水道民営化を日本よりも先に始めた海外では、再公営化の動きが目立ち、2000年~2015年の15年間で37カ国235都市で再公営化されています。
海外の失敗例として、パリは、1980年代の民営化後、30年で水道料金が5倍になったことで、2010年に再公営化しました。
マニラは、1997年の民営化後、アメリカのベクテル社などが参入すると水道料金が、4~5倍になり低所得者は水道の使用を禁じられました。
ボリビア・コチャバンバ市は、1999年の民営化後、アメリカのベクテルが水道料金を一気に倍以上に引き上げ(当時のボリビアの平均月収は100ドル程度でベクテル社は一気に月20ドルへと値上げ)したので、大規模デモが起こり、その後、コチャバンバ市はベクテルに契約解除を申し出ると同社は違約金と賠償金を要求しました。
アメリカのアトランタは、企業の人員削減とコスト削減による補修工事延期の結果、下水処理が不十分になり茶色の水が出るという水質低下が見られたり、老朽化放置で漏水率が上がっている都市や鉛が溶け出して水道汚染事故が起きているところもあります。
海外の失敗事例を基に検証すると、

外資が参入して水道料金の大幅な引き上げ ⇨ ②水道料金が支払えない低所得者層は水が飲めない

⇨ ③ 衛生上よくない水を飲んで病気になる ⇨ ④再公営化となりますが、

今回の改正で、日本の地方自治体は、民間企業と20年間という長期間の契約を結ぶことになりますが、当然、途中解約だと違約金が発生しますので、日本でも、民営化後に契約期間中に再公営化した場合、民間企業に支払う違約金も月の使用料に加算されるので、必然的に、当該地方自治体の水道料金は跳ね上がるという本末転倒の事態に陥ります。
何もしなくとも、地方自治体の水道事業の赤字や老朽化した水道管の更新費用は、そのまま、私たちが支払う水道料金に跳ね返ってきますが、この値上げが、地方自治体の政策のミスにより生じる外資系に支払うための違約金のためにアップするとなった場合、素直に受け入れられる地域住民が、どの位いるのか?を水道民営化の1つの目安にする方法もあると思います。

貧乏人は水を飲むな

地方自治体は、営利を目的とせずに住民に目を向けますので、採算性を考慮しない住民サービス(生活弱者への救済)の提供をしますが、民間企業は、営利を追求するモノであり、株主を強く意識するモノですから、不採算事業の切り捨てを、彼らは、何も躊躇もせず実行します。
日本の政治家や役人に一番欠如しているのは、
企業は、利益の最大化のために動かず倒産リスクの最小化のために動くモノであるというシンプルな思考を理解できていません。
また、競争原理が働けば、民間企業への委託によるコスト削減効果もあり得ますが、水道事業は、地方自治体が、域内の住民や事業者に安心して飲める水を提供するという公共色が非常に強い事業で完全な独占事業なの、そもそも、競争がないので、国の構想は的外れ過ぎであり、国の思惑とは全く違う結果が生じる(海外のような大幅な値上げ)可能性の方が高いと思います。
日本は、海外の失敗例を基に水道料金の値上げに上限を設けるので大丈夫と言いますが、料金に上限を設ければ、民間企業であれば利益追求のためにサービスの質を落とす(上限までの値上げ・設備更新の遅延・更新しない)のは目に見えていますので、外資に水道事業を売り払った当該地方自治体内の生活弱者が、衛生的で、きれいな水を飲めなくなるリスクが非常に高くなるという事実だけです。

外資に国民の命を売る水道民営化について

 老朽化した水道管が破裂したと言うニュースや自然災害の際の断水等のリスクが高まるので、老廃化した水道管の更新事業に反対する人は少ないと思います。
また、更新費用の捻出の為や人口減少による利用者数の分母の減少による水道の使用量の減少から生じる水道料金の値上げも殆どの人は受け入れる筈です。
しかし、この値上げが、誰の目から見ても納得できない値上げだった場合、どうでしょうか?
本項で記載したように外資の水道メジャーに対する違約金の支払いのための水道料金の値上げを素直に受け入れられる人と受け入れられない人を比較した場合、受け入れられない人の方が多いと思います。
その場合、その人たちは、当該地方自治体から引っ越す(流出)ことを検討することになると思いますので、地方自治体が、地域住民の為に良かれと思って行った政策が全く裏目に出てしまう恐れもあります。
また、大小を問わずに全国に1700以上ある地方自治体において、現状と同じレベルで公共サービスを維持しようとするから無理が生じるのであり、水道管の老朽化の更新費用等で頭を悩ませている地方自治体ほど、国も強く進めている地方自治体内でのコンパクトシティーを全力で推進する必要があります。
今のように、水道の利用者が当該地方自治体内に広く分散化しているので、更新費用やメンテナンス費用が膨大になるのであって、水道を利用する住民が何か所かに集中すれば、水道管も集中することができるので、メンテナンス費用等も大幅に削減できます。
水道民営化を視野に入れている地方自治体は、民営化の前にコンパクトシティ構想を推進することの方が先だと思います。
これからの日本の地方自治体を待ち構えているのは全国的に進む、少子化・高齢化・人口減少により

①人口の流出が止まらず運営が立ち行かなくなる

②コンパクトシティ構想を推進し人口流出があっても耐えられる

③外資に食い物にされて守るべき住民もいなくなる(水道民営化を採用した場合)の何れかです。