南海トラフ巨大地震

 
 
 

南海トラフ巨大地震とは


                                         出典:NHK

静岡県の駿河湾から九州の日向灘にかけての海底には、日本列島のある陸側のプレートの下に海側のプレートが沈み込んでいる溝のような地形を「
南海トラフ」と呼びます。
このプレートの境界には少しずつ「ひずみ」がたまっており、これが、限界に達すると一気にずれ動き、巨大地震が発生しますが、これが「南海トラフの巨大地震」です。
これまで、
南海トラフでは、100年から200年の間隔で、マグニチュード8クラスの巨大地震が繰り返し発生しており、直近では、昭和21年(1946)に西日本の広い範囲に大きな被害をもたらしたマグニチュード8.0の「昭和南海地震」が起きています。
最近の日本では、北アルプス地区で「群発地震」が度々、発生していますが、これは、日本にある4枚のプレート(太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレート)のバランスが崩れて、新たな「ひずみ」がたまってきているサインとも言え、注目すべきなのは、フィリピン海プレート沿いの地震や火山活動が活発になってきており、和歌山県西の紀伊水道、大分県東の豊後水道、宮崎県東の日向灘で地震が目立ってきており、桜島(鹿児島県)や阿蘇山(熊本県)などでも火山活動が活発化してきています。
さらに、奄美大島(鹿児島県)、沖縄本島、宮古島、石垣島(以上沖縄県)でも、地震が目立ってきており、過去には、琉球海溝で巨大地震が起こり大津波が沖縄本島を襲ったこともあるので、首都圏~沖縄まで連動する大地震「スーパー南海巨大地震」が起こる可能性もゼロではありません。

発生確率

 
                                        出典:NHK

政府の地震調査委員会は、南海トラフ巨大地震(マグニチュード8~9)の30年以内の発生確率は、今後30年以内に「70%~80%」で発生すると予測していますが、地震学的には、この数値は「確実に発生する」と同意語になります。
そのため、土木学会などの有識者たちも、政府に対して早急な南海トラフ巨大地震対策を求める声が高まっており、土木学会は、南海トラフ巨大地震の30年発生確率を踏まえて「15年以内に対策をしなければ、減災が間に合わせない確率が50%以上に上昇する」と分析しています。

人的被害・経済被害

 
南海トラフ地震 被害想定

内閣府が、最新のデータをもとに2019年5月に公表した推計では、死者数は、およそ23万1000人、全壊または焼失する建物は、およそ209万4000棟になるとしています。
南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されており、2018年6月7日に、災害の専門家が集まる「土木学会の委員会」が、南海トラフ巨大地震の最新被害想定を発表しましたが、その内容は、かなりネガティブで、南海トラフ巨大地震後の20年間の被害総額が1,410兆円という、とんでもない金額であり、これは、首都直下型地震778兆円の2倍です。
これは、南海トラフ巨大地震と津波によって、道路や港など交通インフラの破壊と寸断、工場などの生産施設の火災や倒壊などにより長期に亘り国民所得が減少することが理由であり、国民の生活水準は大幅に低下する恐れがあります。
被害を受けた施設の復旧費用や企業や従業員への影響も加えると、経済的な被害は国家予算の2倍以上にあたる総額220兆3,000億円に上るとされており、南海トラフ巨大地震が起きたら、日本は、東アジアの最貧国の1つにもなりかねません。

ほかの被害


南海トラフ巨大地震が発生した場合、想定される
全壊建物は238.6万棟を数え一時期的な停電軒数は2710万軒、断水人口は3440万人にも及びます。
また、被災や停電で最大4万1900台のエレベーターが停止し、閉じ込められた多数の人の救出に半日以上かかり、古い耐震基準のエレベーターの落下も想定されます。
また、道路の断絶などで1900の農業集落、400の漁業集落が孤立し、救助・救援活動が遅れ物資不足が起こります。
東海や近畿、四国、九州東岸で固定電話の9割に支障、携帯電話も被災翌日で8割の基地局が停止する影響により、被災していない地域も、つながりにくくなります。
ほかにも、道路や橋の損傷が津波浸水域で3700カ所、浸水域外で3万7400カ所と予測され、東海道・山陽新幹線は全線不通、線路の変形や陥没が新幹線で290カ所、在来線1万8000カ所、港は1万7000の係留施設のうち5000カ所に被害、国際戦略港湾や重要港湾も多数が被災します。
このほかにも、
地盤の液状化や長周期地震動で、被害がさらに増える恐れはあります。

高層ビルから人が降る


政府の想定では、東京都の沿岸で最大で3m、千葉県では最大11m、神奈川県では最大10mの津波に襲われると想定されており、津波は、川や濠を遡り、小さな排水路や護岸の崩れ目からも侵入するので、江東区や墨田区に広がる海抜ゼロメートル地帯で、ひとたび大規模な浸水が起これば、ポンプなどでくみ出さない限り、街は水浸しのままになり、万が一、地下鉄が浸水した場合、地下鉄のトンネルを通って、さらに広範囲に水が流れ込む恐れもあります。
また、南海トラフ巨大地震の場合、断層の動き方などの関係で東日本大震災より大きな長周期地震動が、東京、名古屋、大阪の高層ビルを襲うので、高層階では振幅にして5mくらい揺れる可能性もあり、重いコピー機や冷蔵庫が飛び回って簡単に人間を押しつぶし、それらが、ビルの外壁を破って飛び出した場合その穴から人間も一緒に落ちます
また、東日本大震災の際、千葉県浦安市の住宅街で家々を傾かせ大きく報じられた「液状化現象」ですが、南海トラフ巨大地震が起これば、首都圏でも、東日本大震災以上の液状化現象が起こる可能性があり、万が一、伊勢湾コンビナートで液状化が起こり、タンクが倒壊して内容物が流れだし、火が移れば大変な事態になりますが、東日本大震災では、コスモ石油の千葉製油所でタンクが爆発・炎上し、タンクの破片が、4kmも離れた場所まで飛散しています。

前兆 黒潮大蛇行、ラニーニャ現象、大阪北部地震

 
                                     出典:https://smtgvs.weathernews.jp

黒潮大蛇行が終わった年に大地震が起こりやすいという法則が日本にはあります。
黒潮は、四国~本州南岸を沿うように流れ紀伊半島沖で離岸し、大きく迂回しながら房総半島に向かって流れていますが、統計を取り始めた1965年~2017年までに、この現象は6回発生しており、年単位で継続することもあり、戦前に、11年に及んだ黒潮大蛇行が終わった1944年に、南海トラフ地震である昭和東南海地震が起こったという記録もあり、直近では、2004年から始まった黒潮大蛇行が終わった2005年に宮城県沖地震(M7.2)と三陸沖地震(M7.2)が起こっています。

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日本では、ラニーニャ現象の終わった年に大地震が起こるという経験則もあります。
ラニーニャ現象とは、赤道付近の東太平洋、ペルーやエクアドルの沖合いの広い範囲で、海面水温が平年より低くなる現象ですが、ラニーニャ現象が発生すると、日本の南方海上の西太平洋熱帯海域の海面水温が上昇して対流活動が活発になる。
こちらは、かなり精度が高く、2000年代に限った話でも、1998年夏より始まったラニーニャ現象が終わった2000年に硫黄島近海地震(M7.9)などが起こり、2007年夏から始まったラニーニャ現象が終わった2008年になると茨城県沖地震(M7.0)などが発生しています。
直近では、2010年夏より始まったラニーニャ現象が終わった2011年春に、東日本大震災(M9.0)や一連の群発地震が発生しています。

「大阪北部地震」

2018年6月18日に大阪北部地震(M6.1)が起こりましたが「この大阪北部地震こそが、南海トラフ巨大地震の前兆ではないか?」という専門家もおり、過去の地震を分析すると、南海トラフ巨大地震の50年前~地震の10年後までの期間は、それ以外の期間に比べて約4倍のペースで大地震が発生しており、前回の南海地震(1946年)が起きる前の40年間(1906~46年)には、北但馬地震(M6.8、死者428人)、北丹後地震(M7.3、同2925人)、鳥取地震(M7.2、同1083人)など、M6以上の地震が10回起きています。
この断層帯は、過去には、わずか5日のうちに3つの大地震を起こしており、1596年9月1日の慶長伊予地震(M7.0)、9月4日、大分の慶長豊後地震(M7.8)、9月5日、慶長伏見地震が起こっており、1605年には、南海トラフ地震の一つとされる慶長地震が発生しているので、南海トラフ巨大地震の発生日が、すぐそこに迫っていても、全くおかしくないことになります。

原子力発電所

現在の日本社会において、南海トラフ巨大地震が発生した場合、最大の脅威は、原子力発電所です。
南海トラフ巨大地震の被害想定エリア内には、 
静岡県の浜岡原発(2020年現在まだ再稼働していない)と四国愛媛県の伊方原発(2016年3号機が再稼働)の2つの原子力発電所がありますが、東日本大震災の時でも分かるように、静岡県と愛媛県の原子力発電所に、万が一のことがあれば、その被害は、東日本大震災の比ではありません。
放射能は目に見えず、被害も長期的になるので、人が立ち入れなくなるということは、復旧もできない、南海トラフ大地震で原子力発電所が、東京第一原発のようになったら、日本は、静岡県を境として西と東に分断されることになります。
何故、このような場所に、原子力発電所を作ったのでしょうか?

津波の高さ

政府の地震調査研究推進本部は、南海トラフ巨大地震による津波が、今後30年以内に沿岸を襲う確率を被害が想定される352市区町村ごとに算出して初めて発表しましたが、木造家屋を押し流す3メートル以上の津波は、非常に高い確率(26%以上)で、静岡県の伊豆地方や中部電力浜岡原発のある御前崎市付近のほか、和歌山県、高知県の大部分、三重県、徳島県の南東岸、大分県、宮崎県の一部など計71市区町村を襲い、三重県や高知県の一部は、10メートル以上の津波に襲われる可能性も高くなっています。
人間は、30センチの津波で身動きがとれなくなり、1メートルだと多くが流されて死亡しますが、3メートル以上の津波は、大津波警報に相当し木造家屋の多くを壊し5メートル以上になると全壊が急増します。

災害弱者

地震の発生から早ければ数分で陸地を襲う津波に対しては、1秒でも早く海や川から離れ高い場所へ逃げる必要がありますが、高齢者などの「災害弱者」の避難支援対策が、各地で機能不全を起こしています。高齢化に悩む紀伊半島にある三重県尾鷲市の古江地区は、山と港に挟まれた傾斜地に約200世帯が密集するうえ、高齢化率は71%と支える側の人数が圧倒的に足りない上、津波は、10分以内に到達して最大12メートルと想定されており、同じく三重県紀北町の長島地区の指定緊急避難場所の一つが、標高46.5メートルの高台にあり階段を駆け上がる必要がありますが、高齢者には、とても無理です。

機能不全

南海トラフ地震で短時間に大きな津波被害が予想される太平洋沿岸の139市町村のうち、6割の地方自治体が、国が、2019年度末を期限として求めていた、津波の発生前に住民を避難させる「事前避難対象地域」を指定できておらず、地方自治体の機能不全が、ここでも出ています。
千葉~鹿児島までの14都県139市町村では、地震発生から30分以内に30センチ以上の津波が到達するなど短時間での被害が予想されていますが、19年度末までに事前避難対象地域が未指定なのは58・3%と半分以上になり、南海トラフ巨大地震が起きる可能性が高まっているにも関わらず、受け入れ先の公的施設不足により、津波発生前の避難を呼びかける「事前避難対象地域」の指定が進んでいません。
この問題に対して、
最大約30メートルの津波が15分以内に到達する伊豆諸島の新島(東京都新島村)では、推計される死者数は1300人と全村民の半分にもなりますが、村では、いままでも、事前避難対象地域の検討を続けてきましたが、住民の7割ほどが津波の浸水域と重なる沿岸部で暮らしているので、浸水域のすべての住民を受け入れるには避難所が足らないので、民間の宿泊施設を利用して避難所を確保しようとしています。

避難者

 

南海トラフ巨大地震が発生した翌日には、最大430万人が避難所へ270万人が親族・知人宅などへ避難しますが、被災地内外での買い占め、道路の渋滞や寸断で配送が困難になること、保管スペースの不足物資が届いても適切な管理や効率的な配分ができないことも想定され、その不足量は、1週間で食料が9600万食、飲料水は1億4500万リットルにも達し、東日本大震災の1.8倍の地域が津波で浸水することにより、愛知県の190万人を筆頭に、全国で950万人もの避難民が出るとの予想もあります。
ほかにも、重傷者や被災医療機関からの転院患者が多数発生する一方で、被災で医師や看護師が不足するので、対応が難しい外来患者は14万人にもなる
と想定され、断水や停電で人工透析を受けられず亡くなる人達も発生します。
また、
避難所には、特別なケアが必要な災害時要援護者(要介護認定者17万6000人、身体障害者14万2000人、精神障害者12万6000人、妊産婦8万人)が多数、避難をしてくる他に、65歳以上の単身高齢者も22万人に上ると予測されています。

大増税

こうして膨大な数の命を奪う大災害は、南海トラフ巨大地震が招く地獄の1丁目であり、大地震を生きのびても、私たちは、220.3兆円という途方もない額の経済的損失に苦しめられます。
これに対して「東日本大震災でも日本経済は潰れなかったんだから次も大丈夫」という考え方は非常に安易であり、東日本大震災との違いは、今回の南海トラフ巨大地震で、大きな被害を被るエリアは、トヨタなど日本経済を牽引する製造業の拠点も多い経済拠点の集積地域です。
大企業は、高い確率で本社機能や製造拠点を別の都市や海外に移すなど事業継続のための対策を講じるでしょうが、これらに関連する中小企業は、大企業と違い、本社機能や製造拠点の移転などを行う多額な資金がないので、問題の度合いは、より深刻になります。
南海トラフ巨大地震により、日本のGDPは、20~30%減の状態が、最低でも1~2年は続く、と予測されていますが、最大の焦点は「復興財源の確保」です。
東日本大震災の時は、復興国債による借金と復興増税が実施されましたが、被害が10倍以上になれば、それぞれの規模も10倍以上になっても、全く不思議ではなく、東日本大震災の時は、国は復興増税として、所得税の2.1%上乗せ、個人住民税の一律年1000円上乗せ、法人税の10%上乗せなどにより計10.5兆円の財源を確保しましたが、被害が10倍なら単純計算で、所得税の21%上乗せ、個人住民税の一律年10000円上乗せ、法人税の100%上乗せ、となり、とんでもない状態に陥ります。
また、復興国債についても、関東大震災の時と同様に「外債」が中心となると予測されますが、東日本大震災の時に国は、復興国債を2012年度末までに約14.3兆円発行していますが、仮に、これを13倍すれば、その額面は、185.9兆円にもなり、実に、GDPの約40%にも達しますが、国債は借金なので金利が付きますが、関東大震災の時の外債金利は、日露戦争当時に日本が発行した外債の利回り5%強~6%を上回る8%となり「国辱公債」と批判されましたが、南海トラフ巨大地震の際も、恐らく同様な事態になると思われ少なくとも、いまのスペインやイタリア国債並みの5~6%になることは覚悟する必要がありますが、利回り5%でも年間9兆円です。

南海トラフ巨大地震について

スペインやイタリアといえば、財政悪化で破綻寸前と目される国ですが、25歳以下の失業率も50%近い異常な状況が続いていますが、南海トラフ巨大地震が起こったら、日本は、即日、一流国の座から完全に滑り落ち、三流国に転落すると言っても過言ではなく、震災で生産能力が低下し、国債増発で金利が上昇すれば、庶民の懐を直撃するのがインフレですが、これは、年金生活者や預金を切り崩して暮らしている人を直撃します。
建前上は、年金は物価スライドとなっていますが、震災後に予想される大幅なインフレ(3%は固い)には到底対応できず、日常生活にも困窮する可能性が高くなりますが、これでも、まだ穏やかな予測です。
南海トラフ巨大地震がなくとも、日本の国債発行残高は過去最高を更新し続けているので、これに、大規模な借金を重ねれば、国債金利が急騰し、財政破綻する可能性も十分にあります。
そうなれば、交付税に頼り切りの地方自治体も公共サービスを停止せざる得なくなり、回収されないゴミが溢れ、警察、消防、自衛隊も機能不全に陥るので、復旧・復興の手も完全に止まります。
こうなれば、もはや、社会福祉などとは言っていられなくなり、ただでさえ、財政運営の失敗のツケが社会福祉のカット、高齢者の医療費窓口負担増加、年金の支給開始年齢引き上げ、などと言うレベルではなく、最悪の場合、年金廃止や医療費の全額自己負担もあり得ます。
さらに、企業の海外移転も進み空洞化が進行し、その場合、生産拠点の一部ではなく本社機能ごと海外に移す企業も出てきます。
さらに、工場が壊滅して廃業する企業の従業員や農地・漁場を失う人々もおり大量の失業者が発生しますが、失業手当や生活保護の財源が追い付かず、社会のセーフティーネットが麻痺する可能性もあります。2016年イギリスの新聞「ファイナンシャル・タイムズ」が『南海トラフ巨大地震が起きれば、M8~9の巨大地震のパワーにより、一晩で、日本の経済は壊滅するとともに、数多くの「メイド・イン・ジャパン」を利用しているアメリカ国民も大打撃を受けることになるので、日本発の世界大恐慌になる』という衝撃的な記事を掲載しましたが、日本を襲った
直近2回の南海トラフ巨大地震は、昭和東南海地震(1944年)が、第二次世界大戦中、昭和南海地震(1946)が、終戦直後と日本が経済成長を果たす前だったので世界に与える影響は小さかったですが、いまや日本は先進国に仲間入りし、グローバル経済が進んだ現代に、南海トラフ巨大地震が起きた場合、日本経済が、2度と立ち直ることが不可能なレベルまで打ちのめされるのは容易に予想できます。
比較するものではないですが、2011年に起こった東日本大震災の死者・行方不明者が1万8446人ということを踏まえると、南海トラフ巨大地震が起こった場合、桁外れの人的被害や物理的被害が出ることは避けられない状況であり、この被害からの回復(復興)だけでも、いまの日本の国力では、ほぼ不可能ですが日本経済が、立ち直る最大の障害となる可能性があるのが、2つの原子力発電所です。
万が一、南海トラフ巨大地震を起因として1つでも、東日本大震災の時の東京第一原発のように制御不能となって爆発したら、その爆心地を中心に、いまの福島県の双葉郡の町々と同様の惨状が起こります。
そうなった場合、言葉は悪いですが、その影響の大きさは双葉郡レベルではなく、太平洋側の日本の東西を結ぶアクセスは完全に遮断され、高い確率で、東京都・神奈川県も避難地区になるので、日本の3権(行政・司法・立法)と企業の経済活動は、完全に機能不全に陥ります。
また、南海トラフ巨大地震と首都直下型地震富士山の噴火が連動したケースや南海トラフ巨大地震よりも発生する可能性が高まっている日本海地震や北海道沖地震も、いまの日本にとっては、大きな脅威であり、経済的なダメージは、南海トラフ巨大地震には遠く及ぼないとしても、政治家が無能すぎるので、迅速で適切な対応ができずに、人災的に被害の規模を大きくするリスクが非常に高い状態です。
また、政治家が無能すぎるにつながりますが、南海トラフ巨大地震による被害が想定される地方自治体の機能不全も酷過ぎるレベルであり、これは、長い間、国と地方自治体が共同で放置してきた少子化問題や高齢者問題、人口減少問題につながる大きな問題(問題の先送り)です。
少子化問題や高齢化問題、人口減少問題も非常に大きな問題ではありますが、
南海トラフ巨大地震は、これからの日本に襲い掛かるすべての問題が小さく見える程のダメージを日本経済と日本人に確実に与えます。
つまり、南海トラフ巨大地震が発生した段階で、被災地は勿論のこと、被災地ではない無能な地方自治体も、あまり、時間を空けずに崩壊します。
無駄な地方自治体(税金の無駄食い)の数が大きく減ることは、日本社会にとっては良いことですが、大規模自然差異を起因とするようなハードランディングは、生き残れる地方自治体も同時に衰退するリスクが高まるので、あまり、宜しくありません。
しかし、
大規模な自然災害が発生した場合、地方自治体と国には頼れないことは、すでに、全国民の共通認識の筈なので、そうなった時に、途方に暮れることが無いように「自分の身は自分で守る」の基本に返って国民は、対策を講じておく必要があります。
必ずやってくる南海トラフ巨大地震に対する備えは、想定される被害に対して国も地方自治体も私たち国民も何もしていないと同様です。
私たちはいま、日本に住み続けることの絶望的なリスクを突きつけられている状態ですが、大多数の国民は、何も行動をせずに、その日を迎え、その時になって初めて「こんなことになるとは考えもしなかった」と茫然自失になりますが、その時の自分に降りかかる数々の災難は、すべて何の行動も起こさなかった全て自分自身が蒔いた種です。
そのような最悪な事態に陥らないように今日からでも、その日に備えた行動をすることが求められます。

いま、50歳以下の人たちは、高い確率で、南海トラフ巨大地震を体験することになるのですから。