コロナで早まる2035年問題

 
格差社会、社会保障縮小社会をうむ
 

2035年問題とは


2025年、団塊の世代がすべて75歳を迎え後期高齢者(総人口の5人に1人)となり、65歳以上を含めると3人に1人という、超・超高齢化社会に突入した日本では、総人口と生産年齢人口が同時に減少し、少子化・高齢化が複合的に同時に進行する世界で唯一の国になります。
このため、日本では、持続可能性を維持しながら、より多くの国民が納得できる日本独自の新しい社会保障のモデルが必要とされますが、これらの課題の総称を2025年問題と呼び、この時代の10年後の日本が直面する様々な問題を総称して2035年問題と呼びます。

高齢化率


2012年に国立社会保障・人口問題研究所が公表した資料によれば、日本は、高齢者人口は増加し続ける一方で総人口は減少し続けるので、高齢化率は上昇が続き、2035年には、総人口の33.4%、およそ3人に1人が高齢者となると予想されています。
また、2042年以降になり高齢者人口は減少を始めるが、依然、出生数の低下は改善されず、これにより、高齢化率の上昇は止まらず、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来するとも予想されています。

単独世帯数

この時期の家族類型別の世帯をみると、2015年に1,842万世帯だった単独世帯は、2040年時点でも 1,994万世帯となり、一般世帯総数に占める割合は、2015年の34.5%に対して2040年には39.3%へ上昇すると予想されているので、5世帯に2世帯は、単独世帯になります。
また、世帯主が65歳以上の世帯数も総世帯数に占める割合は2015年の36.0%から2040年の44.2%と大幅に上昇し、さらに世帯主が75歳以上の世帯では2015年の46.3%から2040年には54.3%へと拡大するため世帯の高齢化も進み続けます。

経済の問題

この時期の日本は、さまざまな課題を抱えていますが、少子化や高齢化、人口減少、単独世帯の増加などの人口動態の変化によって、地域間格差も拡大し、一部地域の存続が困難となる可能性もあります。
また、相対的貧困や世代間格差も拡大するので、財政状況は危機的な状態に陥ることが予想されます。
また、人口減少に伴う経済社会の激変によって、債務残高は、永遠に返済が不可能なレベルにまで達します。

介護の問題

この時期の日本は、介護需要の拡大とそれに反比例する人口の減少により、介護サービスや介護予防サービスにおける介護職員や介護施設の絶対数の不足が顕著化します。
また、公費や保険料負担の拡大なども予測されることから、介護サービスを必要とする各世帯の負担は、いまとは比較にならないレベルまで重くなっているとも予想されます。
介護サービスの質と⽣産性の向上が欠かせませんが、それには官と民がそれぞれの役割を明確にするとともに、質と生産性向上における展望を共有して、必要な対応を効果的かつ効率的に行っていくことが重要になりますが、この時期の官は資金的にも人材的にも資源が枯渇して、その能力はないと思われるので、民の負担は確実に重くなり、また、民のモラル・良識が問われる時代になることも予想されます。

医療の問題

この時期の日本は、保健医療に関しても多くの課題を抱えることは確実であり、いまでも、生活習慣病や多疾患といった疾病の慢性化や複雑化は進んでいますが、2035年には、さらなる疾病構造の慢性化、複雑化が起こることが予想されており、これにより、保健医療に対するニーズの増加と多様化が起こり、他の福祉サービスや保健医療サービス同士のミスマッチが懸念されていますが、いまでも既に医療従事者の専門細分化によって、過剰診断や過剰治療、過剰投薬、重複受診などが起こっているので、緊急の場合の対応から健康診断の結果についての相談までを幅広く行うプライマリ・ケアの実現が必要になります。

110万人が失業

この時期の日本は、昇進適齢期を過ぎたバブル世代に対して、プライベート(教育・介護など)問題が重く圧し掛かる時期にもなり、この問題がクリアーできても、次は、自分たちの老後の資金問題が発生してくるので、精神的に休める日が日に日に少なくなることが予想されます。
実際に、40代後半の50%以上が老後の蓄えについて「かなり足りない」と答えており、将来の生計に不安を抱くのは、いまの若い世代だけではなく、バブル世代も一緒なのが、この国が抱えている根深い問題(闇)になります。
しかし、就職氷河期や氷河期以降の世代とバブル期の大きな違いは、その思考にあり、就職氷河期の世代は、もともと、仕事がなかったので「最悪なんとかなる」「バイトでもする」的な、ある意味、楽観視した思考を持てますが、バブル世代は、溢れる職業の中から、職業を選択できた時代しか知らないので、「働き口があるか?」と言う不安を抱くことだと思います。
しかし、この違いは明白であり、ポジティブとネガティブの違いというだけの違いではなく、
この時期には、バブル世代は60代後半に突入するので「
約110万人が失業する可能性がある」とも言われています。

コロナで早まる2035年問題について

2035年を見据え、厚生労働省では医療技術の進歩や、変化する保健医療の環境への対応を目指すべく、2015年から「保健医療2035」と呼ばれる策定懇談会を開催していますが、この中身は、保健医療において守らなければならない基本理念や価値観のほか、変革の方向性について検討されています。
これからの日本は、いまだかつて人類が経験したことのない少子化・高齢社会を乗り越えるため、保健医療の機能を発展させることが求められますが、これは、従来の発想や価値観を転換し、技術革新などを最大限活用して具体的な改革を進めていく方向性を示すことが重要になります。
これを実現できた暁には、日本は、経済面ではなく、医療分野の先進国として、過去の地位(経済大国・先進国)に返り咲く可能性も見えてきますが、これが実現できなかった場合、この時期の日本は、最悪、途上国レベルまで世界的な地位は下がり、それに合わせるように、実社会も、貧困者が蔓延するスラム街のようになってしまう恐れもあります。
健康長寿でありたい」という思いは世界中の誰もが男女や年齢を問わず持っているものですが、日本は過去の政治家やいまの政治家・官僚が無策だったので、長期間に亘り、高い国民力を無駄に浪費し続けてしまい、その結果、ついに、国民力だけではカバーすることができない限界点を超えてしまい、経済成長の鈍化と人口動態の変化などにより、キーになる財政力を年々、失い始めており、それが、表面化するのが、この時期であり、この時期には、いままでのような問題の先送りは通用しなくなります。
この時期の前(いまの時代も)にも、同じ内容の問題は発生し続けていますが、これまでは、国民力により、辛うじて生き残れてきましたが、人口の減少と高齢者数の増加により、隠し通すことができなくなってきています。
基本的には、日本の高齢化問題は、サービス従事者数の増加が、医療費をはじめとする社会保障費の急増に追いつくがどうかが本質になりますが、今後は、これまでのような部分的な制度改正を繰り返すだけでは保健医療制度の持続可能性を確保することは不可能です。
このように、この時期は、平均寿命も年々伸び「人生100年時代」とも言われる時代であっても、悠々自適の老後を迎えられるのは一部の恵まれた人だけ、という現実が表面化する時期でもあります。
しかし、どのような不安定な社会であっても、根本的に、世の中がそれで終わるわけではないので、そのような環境下でも生きていかなければなりません。
たとえ、その生活環境が、いまの時代よりも厳しい就職環境や社会環境になっても、それらを起因として失業率が高くなっても、生きていかなければならないのです。
それであれば、少しでも良い就職環境につくために自己のスキルを上げる、自分の価値をげる、そのために努力をする、2つ目の収入源を探す、作る、収入を得る、というようなことは、他人に言われなくても自発的に行動すべきことだということは理解できる筈です。
いまの社会環境化の常識が、どのタイミングで通用しなくなるかは誰にも予想できませんが、自分自身の価値を上げる努力は、今すぐにでもできます。
これからの日本の社会は、高い確率で皆保険制度は崩壊するので、アメリカのように、金持ちしか病院に行けない、入院できない、手術をしてもらえない、となっても全く不思議ではありません。
また、年金制度も同様であり、政治家や官僚、学者等が、どれだけ綺麗事を並べて繕っても、確実に破綻します(ここで言う破綻とは、支給される年金の金額が大きく少なくなることを含みます)。
つまり、国民一人ひとりも、日本が直面している様々な問題を正しく理解して、長期的な視点に基づいて環境に適応し、将来に備えることが求められているのであり、100%言い切れるのは、自分で何もせずに周りのせいにばかりしている人には明るい未来は絶対に訪れないということです。