日本病Japan Disease

 
 

日本病とは


日本の政治家は、海外から「日本病(Japan Disease)」と批判される日本経済の状況について、本気で危機感を持つべきであり、
世界は、今や日本経済を「日本病」と名付け、経済の研究材料分野では、経済政策の失敗例として扱われることが多く、いまの日本経済は、衰退する先進国の代表のように考えられています。
日本では「失われた20年」最近は、さらに増えて「失われた30年」を経て、日本は、経済成長をしないのが当たり前になりつつあり、悪いことに、それが固定化されてきていますが、この原因は、日本が、世界最大の社会主義国家だからであり、これは、国民皆横並び主義(出る杭は徹底的に打たれる)、行きすぎた格差是正で結果の平等を求める、相変わらず規制ばかり多い、世界に冠たる国民皆保険に表れており、その結果が、国力に比べて強すぎる円(通貨)にもつながっており、これを、本気で改善しないと日本という国に未来はなく、日本国内で良く言われる「資本主義は終わった」という主張は、大きな間違いであり、日本は社会主義だからダメになったので、いまだに、経済の回復に抜本的な改善の気配すらも見られない状態に陥っている原因も、何時まで経っても変わらない横並び主義(護衛船団主義)が原因です。

いまの日本


いまの日本は、
海外からは「デフレから脱却できない国」などという生やさしいレベルではなく「日本経済に根本的な問題がある」と考えられているのであり、世界の投資家は、そんな国の株式には投資はしないし、デイトレーダー以外、そんな国の通貨を、比較的安全な通貨などとは思いません。
いまだに日本国内では「昨年より景気が良くなった」「アベノミクスで良くなった・悪くなった」と目先にばかり関心がいって、話のネタになっていますが、いまの日本には、こんな低次元の話をしている時間的な余裕は、すでにないです。
それは、この30年間の名目GDP(国内総生産)成長率に顕著に表れており、
米国は4.1倍、英国は4.9倍、韓国は17.8倍、中国は75.0倍、その間の日本の名目GDPは、国と日本銀行が総力を挙げて財政出動と金融緩和を極限まで発動しても、わずか1.5倍しか成長していません。
これが、日本経済の事実であり、現実なので、政治家は、この事実に目を向け原因を分析し、いままでのような小手先ではなく、根本的で抜本的な改革を行わうべきです。

個に自身が持てない日本人


日本人は「日本は、○○の分野で世界第位」という話が大好きで「1人あたりで見て、世界第位」という話は、ほとんどなく、話題になるのは「全体で第位」という話ばかりです。
たしかに、昔の日本であれば、企業に従順で、問題を越さなければ定年まで仕事ができる、という環境がありましたので、これが、愛社精神となり「個人よりは、社会や国」と言う考え方は、いまでも、終身雇用が健在であれば、通用したかもしれませんが、いまの日本は、一部の大企業などは、大きな利益を上げて内部留保を積み上げていますが、その利益が、社員給与に反映されず、かつ、経営者もドライ(中途半端な欧米化)になり、終身雇用は、遥か昔の話になっています。
いまの日本は、国民1人一人で考えた場合、実質的な給与は下がり続けながら、税金などの負担は上がり続けているので、国民は、非常に厳しい生活を強いられており、それが、格差と貧困と言う形で顕著化しています。
いまの日本のような状態、つまり、1つの国が衰退していく状態、国民に諦めの気持ちが蔓延した状態、衰退を受け入れている状態を、人間の身体に置き換え、病気に喩え「日本病」と呼ばれますが、その特徴は、国民全体を覆う倦怠感と無気力感と国全体に蔓延する貧困と格差です。

復活したイギリス


今の日本と同じようなことが、イギリスでもあり、当時のイギリスは、経済のさまざまな分野で、イタリア、フランス、ドイツや日本に大きく抜かれ、それを多くの国民は「仕方ない」と諦めていました。
この頃のイギリスは世界的には「イギリス病」と呼ばれ、衰退していく国家の見本のように語られていましたが「やらなくてはいけないことをやる」という改革を断行したことで、見事に復活しましたので、日本も、まだ間に合うので、いまからでも、政治家や経営者は「やるべきことをやる」という非常にシンプルな行動を起こすべきです。
行動を起こした企業は生き残るでしょうが、行動しなかった企業からは、人(人材)が流出を続け、そのような企業は、何れ、忘れられた存在になりますが、この問題は、国が亡ぶのが先か?企業が亡ぶのが先か?になります。
今の日本は、ごく一部の企業を除いて「企業(経営者)が、やるべきことをやっていない」ので、今の惨状になっているということを、大多数を占めている行動をしていない企業の経営者は自覚すべきです。

国民1人あたりでみた日本


全体 1人あたり
 GDPは世界第3位  GDPは先進国最下位(世界第27位)
 輸出額は世界第4位  輸出額は世界第44位
 製造業生産額は世界第2位  製造業生産額はG7平均以下
 研究開発費は世界第3位  研究開発費は世界第10位
 ノーベル賞受賞者数は世界第7位  ノーベル賞受賞者数は世界第39位
 夏季五輪メダル獲得数は世界第11位  夏季五輪メダル獲得数は世界第50位

このように、日本は、国別ランキングでは上位ですが、1人あたりだと、人口が多いので順位が大きく下がりますが、これは、先進国で1億人以上の人口を抱えている国が、アメリカと日本しかないからです。しかし、仮に、ドイツ・イギリス・カナダが、日本と同じ人口規模だった場合、これらの国々に日本のGDPは軽く抜かれ、仮のランクづけでは、G7で6位であるフランス(7位はイタリア)と僅差の5位まで、その順位を大きく落としますので、見方を変えれば、人口が多いから今のポジションを維持できているのであり、いまのまま、日本社会が変わらなければ、人口が減れば、必然的に、今の地位から陥落することになります。
国民1人ひとりの豊かさは、全体よりも1人あたりのほうが適切であり、同じ10億円の利益を上げている会社でも、従業員10人の会社と100人の会社では、社員の豊かさや潜在能力の発揮度合いは10倍も違うという、きわめて当たり前の話になります。
しかし、残念ながら、いまの日本は、100人の会社になってしまっているので「成熟国家や老いた国」と言われ「ピークは過ぎた国」と国民も世界も考えていますが、日本が、このようになってしまった主因は無能な政治家や経営者であり、この日本病により、日本経済のポテンシャルは大きく損失しています。

日本人のポテンシャル

 
日本人の能力の高さは、国連の調査でも「労働者の質」が世界一高い国であるという発表でも明らかですが、国民の質の高さが数字に反映されていないのは、日本人の持つポテンシャルが活かされていないからであり、見方を変えれば、政治家が考え方を変えて行動すれば、経営者が考え方を変えて行動すれば「日本は、秘めているポテンシャルに見合うだけの数字が叩き出せる」ということになります。
日本人の勤勉さは世界的にも有名であり、小・中学校と言う義務教育の環境下で
勉強して、塾にも通い、就職してからも毎日、有給休暇もほとんど消化せず、一所懸命、働いていますが、その頑張りに見合うだけの給与は受け取れていません。
また、ある意味、日本の独自文化であった終身雇用制度も無くなったも同然(形骸化)であり、普通であれば、このような、不安定な環境下で、仕事に邁進できる筈がないのですが、日本人は、その勤勉さから自身の環境の不安定さを理解しながらも、日々、社畜として仕事に励んでいます。
この不安定な環境を打破するには、政治家や経営者が考え方を変えて行動する必要がありますが、経営者は、企業の利益を追求するので、国が、法整備を行い、給与の上昇(仕事に見合った給与)を義務化(強制化)すべきであり、そうすれば、いま、予想されている日本の未来とは、全く違う未来が現れます。

政治家の勘違い


世界的に見ても、
1億人を超える人口(11位)を誇る日本の世界ランキングが、様々な分野で高いのは当たり前であり、日本の政治家が、この点を勘違いして、1人あたりのデータを見ずに、世界ランキングだけを見て「日本の実績は諸外国より上」だと信じ込んでいる傾向にあるので、この大きな勘違い(この事実を、把握していても行動していない政治家や把握しても行動しないで放置の政治家も多いと思いますが・・・)により、有効な政策を何1つ打てていないと考えられます。
このことに政治家が気が付き、1人あたりに目を向ければ、日本人の潜在能力が、いかに発揮できておらず無駄に浪費されているかは明白になる筈ですが、この勘違いによって、成長が阻まれています。
政治家が、日本の実績を、このレベルに押しとどめている原因を特定し、改革を実行すれば、日本は、必ずや、劇的な復活を果たすはずであり、いまの1.5倍のGDP770兆円、いまの2倍の平均年収1000万円というレベルも十分に達成が可能であり、そのくらいの復活劇が起きても、まったく不思議ではありません。日本人のポテンシャルが、低いままで抑え込まれている原因は、政治家にあります。

高齢化がポジティブに作用する社会


いまの日本は、優秀な人材がいても、それを活用できない社会になってしまっているので、これを、打ち破らないと前に進むことすらできず、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を含め、ITを活用して産業革命を進めようとしている国は、日本を含めてたくさんありますが、日本は、社会的な構造改革を推進した際に、増加することが確実な関連失業を気にせずに社会的な構造改革を推進できる条件が整っています。
社会的な構造改革を推進した際に、労働市場に流動性がなければ、仕事にあぶれる人たちが大量に発生する恐れがありますが、日本は、失業者を、再トレーニングして新しいビジネスに活かす基本的な条件が、他の国に比べ優れているので、社会的な構造改革を進める条件面でも優れています。
これは、基本的な教育の学校システム(義務教育など)が整っているのに加え、終身雇用制で、企業が人材を育成するのが文化になっていることにより、日本の人材の「質」は、世界的にも高く、数的思考力、読解力ともに世界でNo1であり、しかも、年齢別で見た場合、中高年のレベルは、断トツ1位というように、40代、50代のレベルは相当に高いので、このデーターは、衰退企業(産業)から成長企業(産業)へ人材がシフトする際のスキル再訓練時のスキル吸収力が高いことを示しています。
いまの日本は、日本の労働市場の特徴である終身雇用制が悪い方に作用をして、労働市場に流動性を生まなくなっていますが、これを、若干、修正(年功序列の廃止)して、海外のように、競争原理「ストレッチアサインメント(未熟者に重責を課す)」を導入して、
能力がある人には、さらなる能力向上を促すことにより、各自の力量の差がはっきりし、各人のキャリアの見通しもつけやすくなります。

賃上げ圧力

これまで日本が約30年にわたって苦しんできたデフレの主因は、規制緩和が悪用され、労働分配率が低下したことであり、逆に、賃上げに方向転換させれば、日本も、再び経済を成長させられます。
日本は、本格的な人口減少時代に突入しており、これからは、労働市場の需給バランスが崩れ、供給側、すなわち労働者側に有利になってくるので、その結果、賃上げ圧力が、だんだんと強くなりつつあり、人が、あふれかえって企業が人を浪費できた時代は終わり、これからの日本での労働者は貴重な資源です。いまの日本は新しい技術を広く普及させ、生産性を高めて、高生産性・高所得の経済モデルにシフトする大きなチャンスを迎えています。
人口が減少するため、表面的な経済成長率は、それほど高くはなりませんが、このチャンスを、うまく掴めれば、国民1人当たりの所得を高め、皆が豊かになり、社会保障制度や国の財政を健全化することも可能です。

最低賃金引き上げのメリット

最低賃金の引き上げには、企業の自発性による行動を期待しても、企業は、行動には移さないので、企業に行動させるには、強制力が必要であり、国が、強制力を行使すれば、全企業に対して、直接的・間接的に影響を与えることができるため、企業部門を動かす効果が期待できます。

最低賃金と企業規模拡大
 
優秀な労働者を豊富にかつ安く調達し、使うことができれば、技術開発への投資意欲が減退し、人間の
 力(スキル)に依存した経営になり、本来高い給料を払わなければ雇えない人材を安く雇えるのなら、
 給料の支払い能力が低くても、本人に経営能力が無くても、会社をつくることが可能なので、結果とし
 て、企業の数は増え、日本独特の小規模零細企業が乱立することになります。
 しかし、人のコストが高くなると、企業規模が小さく支払い能力の乏しい企業では支払いが不可能なの
 で、必然的に、このような人材を浪費するだけの小規模零細企業は淘汰され、規模の経済を利かせるた
 めに他社と統合し、規模を大きくする動機が生まれますが、この生産性の向上効果は絶大になります。

デフレと最低賃金 
 人口が減って需要者が減少すると、需給のバランスが崩れて価格競争が始まりますが、この場合、能力
 のない経営者は、社員の給料に手を出すようになりますが、これは、生き残るための価格競争の源泉が
 労働者の給与になることになりますが、社員の給料に手をつけても限界があります。
 この限界こそ、最低賃金であり、この最低賃金を引き上げることにより、それ以上は、価格競争を防ぐ
 ことが可能になり、商品の価格を下げても給料を上げられなければ、その企業は、規模を縮小するか破
 綻するしかないので、国が、最低賃金を引き上げれば、需要者の減少によって企業が引き起こすデフレ
 圧力を緩和できる可能性が高くなります。

最低賃金と女性活躍 
 海外でも日本でも、最低賃金で働いている最も多くの労働者は女性であり、女性の活躍にとって何より
 も重要な政策が、最低賃金の引き上げになり、それと同時に「150万円の壁」の撤廃と専業主婦優遇を
 やめる、子どもの数を基にピンポイントで優遇する、真の少子化対策が望ましいと思われます。

最低賃金と格差社会 
 最低賃金の基本は、格差社会の是正なので、日本の場合、上位層の収入上昇と収入の低い労働者の増加
 によって格差が拡大してきており、格差社会是正の一番の早道は、最低賃金の引き上げです。
 いまの日本の最低賃金の水準は、あまりにも低すぎるので、これを大きく引き上げれば、国内消費のア
 ップなど大きな成果が期待できます。

最低賃金と地方再生 
 アメリカは、州別に導入していますが、ヨーロッパの場合は全国一律が基本であり、日本の現行の最低
 賃金も、都道府県別なのでアメリカに近いですが、アメリカと日本では、さまざまな規模が異なり、日
 本は国土も狭く、交通網が整備されていて、人口も、アメリカの3分の1程度しかいません。
 つまり、人の移動が容易な日本のような国が、最低賃金を都道府県ごとにバラバラに設定するから、労
 働者は、最低賃金の最も高い
東京に集中する
のであり、現実に、そうなっています。
 政治家は、この悪循環の仕組みを、そろそろ、理解して、最低賃金を、全国一律にすることを真剣に考
 えるべきであり、これが、東京への若者の集中の緩和と地方再生の近道になります。

最低賃金引き上げは、少子化対策にもなる 
 
日本の社会は、懸命に仕事をしてももらえる給料は少なく、楽しみもあまりないのに、老後の生活は不
 安だらけという社会なので、子どもをつくっても、自分たちも、そして、その子供たちも、100%苦労
 することが分かっているので、子どもをつくらない、という選択をしている人も相当数いる筈です。
 だからこそ、最低賃金を引き上げ、その最低賃金のすぐ上の層にも段階的な経済効果が出れば、少子化
 問題も緩和される可能性があり、子どもが増えれば、それに付帯する様々な業種が、その特需により元
 気になるので、結果として、税収のアップにつながり、その税収を、子どもを持つ世帯や子ども本人に
 手当や授業料の無償化と言う形で、ピンポイントで手厚く還元すれば、更なる相乗効果が見込めます。

真の意味で国からの国民の自立
 
少しでも、計算ができる人であれば、いまの日本経済の仕組みを変えないと日本が滅びることは、すぐ
 に分かる筈
ですが、この仕組みの解消に対して、本格的に取り組んだり、考えている政治家や国民が、
 非常に少なく、これだけの危機に直面していても自ら変わろうとしないのは、普通の人間の感覚では、
 理解できず、その思考は「異常以外の何物でもない」と言い切れます。
 世界の国々の中で、もっとも、改革が必要な国が日本なのに「先進国として日本は最も改革しにくい
 国」と言われる程、この国の政治家や国民の頭は硬直化しているので、国民が、自分の力で変えようと
 しない、変わるつもりがない、のであれば、日本の政治家が、大得意である「自己責任」と言う形で、
 国民は、その日を迎えるしかありません。
 そうならないためにも、国民は、国から自立すべきであり、1人あたりのポテンシャルは、世界有数で
 あり、その質の高さがあれば、そろそろ「この国や政治家は、私たちの生活を守ることは何もしてくれ
 ない」ということに気が付くべきであり、気が付いたなら、行動に移すべきです。
 国民が、その気になれば、法律を変えることもできるので、利権にまみれた政治家や一部の権力者のた
 めの法律を自分たち(子どもや孫を含む)のための法律に変えるべきです。
 その行為が、真の意味での国からの自立と言うことであり「社会環境は、自分たちが作るモノ」という
 意識を強く持つべきです。

「人手不足」は業種・規模限定

近視眼的で思考回路がショートした日本の多くの経営者たちは、今の状況がチャンスであることに気づかず「人手不足」を理由に安易に外国人労働者の受け入れ枠の拡大を国に求めていますが、そもそも、日本は世間で騒がれているほど、ひどい人手不足ではなく、人手不足が深刻なのは、いわゆる3K(危険、汚い、キツイ)と呼ばれる業種であり、特に、非正規労働者が多く、賃金水準が非常に低く、労働条件が過酷な業種(飲食業や宿泊業、営業、医療など)ほど人手不足が目立ちます。
しかし、これからの日本は、今後、さらに人口が減り、労働市場がタイトになるので、よい条件の仕事が見つかりやすくなり、今のような過酷な条件でも働きたいという人が、どんどん減っていきますが、そのことに、多くの経営者は、気が付いておらず、馬鹿の一つ覚えのように「人手不足」と騒いでいます。
直近の求人倍率でも、ここ数年、日本は上昇傾向が続いていますが、企業規模が小さい(社員数300人未満)ほど求人倍率が高く2013年の3.27から2019年は9.91までアップなっており、大企業(社員数5000人以上)の求人倍率は、逆に下がっている(0.60倍から0.37倍へ)ので、日本人労働者が「給料水準の低い企業から、次第にいなくなっている」表れと言えます。

経営者の能力不足

事業規模の小さい企業の経営者は、今の状況を「人手不足」だと感じるかもしれませんが、これは、人口減少により働く人の数が減っているだけで、この問題は、悪くなる一方ですが、このことに気が付かず、いままでの仕事のやり方を変えず、そのまま継続しようと考える能力不足の経営者が多いので、表面上だけ見れば深刻な「人手不足」に見えます。
しかし、これは、ビジネスモデルを変革できない能力のない経営者が多いだけであり、ビジネスモデルを変革すれば簡単に改善できます。
これらの経営者は、これまで、
安い賃金で、たくさんの人を雇ってきたのですから、今こそ、新しいビジネスモデルを導入すべきであり、最たる機関は、地方自治体や金融機関になります。
この問題に対し、金融機関は、すでに手を打ち出していますが、地方自治体の改革は、国が亡ぶ段階でも達成できていないかもしれません…。
いまの日本では、新型コロナウイルス感染拡大で、宿泊業が大打撃を被り、倒産が増えていますが、これも同様で、ビジネスモデルの変革ができない経営者は、業種を問わず淘汰されることの表れです。
また、人口の減少の重大さを理解できずに、安売りをしてきた宿泊施設などは、
安い給与で働いてくれる従業員を集められなくなりますが、この場合は「人手不足」ではなく、経営者の怠慢・能力不足なので、何れ倒産することは確実ですし、倒産するべきです。
これからの
日本社会は、高齢化に伴って需要の中身が確実に変わり、経営者は、それに対応する努力をすることが求められますが、こうした最低限の努力を怠り、ただ単に今まで通りのやり方を継続したい、生産性向上はしたくない、という経営者であれば、人口減少によって深刻な「人手不足」の問題に悩まされるだけであり、物事の本質を見る努力を怠り、表面上だけで物事を判断するレベルの低い経営者ほど「人手不足」を問題視し、政府に対策を求めますが、これは、日本の経営者の無責任さと幼稚さを物語っているだけです。

人材の無駄遣い

いままでの日本の経営者たちは、優秀な人材を数多く、しかも、異常なまでに安い賃金で調達することができたので、生産性が低くなってしまったとも言えますが、これからは、通用しません。
日本で、女性の活躍の場が、なかなか広がらないのも、日本の最低賃金で女性を雇って、年間2000時間働いてもらっても、年間の賃金は200万円にもならないので、客観的に見てあまり必要がない仕事でも頼むという無駄が蔓延しましたが、これは、大きな無駄であり、人を雇うのであれば、その人の能力分は仕事をしてもらうべきですが、いままでの日本には、安い賃金で働く人が多くいたので、経営者は、生産性を上げる、従業員のスキルアップなどの努力を怠り、ただ単に従業員(特に女性)の能力を無駄に浪費してきました。
このように、無駄に使ってきた日本人労働者が減るから「人手不足」と考えるのは、あまりにも短絡的すぎであり、それであれば、仕事を効率化して、より生産性の高い仕事に変える、というビジネスモデルの変革や産性向上による緩和策を打てば、確実に、その分だけ「人手不足」は解消されます。

経営者の甘え

「人手不足」を解消するために最も安易な外国人労働者の受け入れ枠の拡大を、低能な経営者たちが求める理由は、これまで、日本の零細企業は、長い間、優秀な人材を安い賃金で雇うことを企業存続の原動力にしており、優秀な人材を異常な水準で安く雇うことにより、能力のない経営者でも、この恩恵を長い間、受け続けられたので「日本人が減るのであれば、この恩恵を与えてくれる対象を日本人から外国人に移して、これまで同様の恩恵にあずかろう」という安直な自己保身のみ理由です。
このような経営者の頭の中は、もともと、長期的スパンで物事を考える機能が装備されていない、または、壊れているので、安く使える優秀な人材が減ることは理解できても、生産性向上の努力の思考はなく業務の効率化やビジネスモデルの変革などの発想も出てこないし想像も理解もできません。
彼らの頭は「少なくなる日本人に代わって、低賃金でも過酷な労働条件で働いてくれる外国人を増やせば良い」という目先のことしか考えられない低次元な機能しか持ち合わせていないので、その結果の行動として、国に対して「外国人労働者の受け入れ枠の拡大」を迫るのは至極当然の結果と言えます。
この発想は、より高い生産性を達成するのが難しい、小さい規模の会社の社長たちは、特に顕著であり、政府の意図はともかく、経営者の意図は、多かれ少なかれ、人口減少によって労働者の立場が強くなり、賃上げの圧力が強くなるのを緩和したい、または、賃上げの時期を遅らせたい、その間に、安価な賃金で働く外国人をたくさん雇用する、ぐらいしか考えていません。

日本経済にとどめ

国は「受け入れの対象者を技能者などに限る」と言っていますが、受け入れの対象としている国は、ミャンマー、フィリピン、ベトナムなどの、いわゆる途上国であり、これらの国々に高い技能を持つ労働者が多くいるとは思えませんし、これらの途上国からやってくる外国人労働者を、日本人以上に安く雇うことができるなら、今までのやり方を変える必要もなく「人手不足」と騒いでいる経営者たちは既得権を温存できます。
しかし、安い賃金で働く人が増えれば増えるほど、経済全体にとっては、生産性を抑制することにもつながり、高生産性・高所得経済への移行は、机上の理論で終わってしまい、ほかにも、日本で働く労働者全体の所得レベルの低下招くことも十分に考えられ、外国人の受け入れを増やせば、需要者が増えるので人口減少による経済への悪影響は多少緩和されますが、それも、外国人労働者が増える一部の地域に限定され、この外国人労働者が、日本に住み続けることになれば、所得水準の低い人が増える分だけ、今まで以上に社会保障の健全性が棄損する結果につながります。
つまり、
短期的な視点では、外国人労働者の受け入れ拡大は、日本経済にとっての特効薬に見えるかもしれませんが、長期的視点では、歴史に残る大間違いに終わる可能性が極めて高いリスクを持っていると言えますので、一部のゾンビ企業の主張を鵜呑みにして、外国人労働者を安易に受け入れる前に、もっと真剣に生産性向上に取り組むべきであり、同時に「労働者は、安く雇って無駄に使うのが当たり前」という世界的に見て非常識すぎる日本企業の経営者のマインドを変えることが必須です。

下がり続ける日本の生産性順位

日本の生産性は「下がった」わけではなく、1990年から現在にかけて、日本の生産性は、わずかですが「上がって」いますが、日本の生産性が先進国で最低になったのは、この期間の他の国(アメリカ・ドイツ・イギリスなど)の生産性の上がり方が40%なのに、日本は、極端に上がり方が低く、生産性は20%しか上がっておらず、特に、1995年以降、他の先進国は、爆発的に向上していたにも関わらず、日本だけがほぼ横ばいで推移したので、1990年には世界第10位だった生産性が、第27位まで一気に落ちました。
この結果、
アジアの中でも、日本の優位性は次第に薄れてきており、2001年には、日本の生産性は、まだアジアトップでしたが、2002年に第2位、2007年に第3位、2010年に第4位、2015年には第5位まで低下しており、このままだと、数年後には、日本は、生産性で韓国にすら抜かれることが予想されます。
1990年には、日本の購買力調整済みの1人あたりGDPは、韓国の2.44倍でしたが、毎年そのギャップが縮まっており、2015年は、1.04倍と、ほぼ横並びになっており、生産性は、やがて収入にするのです、このままだと、生活水準で韓国の後塵を拝することになります。
実際に、いまは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外からの来日者は激減していますが、彼らの多くは、日本人の「おもてなし」を気に入ってるのではなく、ただ単に「日本の方が物価が安いから」という理由で来日しています。
また「日本は高齢者が多いから、生産性を計るために1人あたりのGDPを使うと、日本の生産性が過小評価される」というのは大きな間違いであり、たしかに、GDPを人口で割ると、経済にあまり貢献していない高齢者の比率が高いと生産性の値が低くなるという理屈は正論のように思われますが、
高齢者が多いことは、日本の1人あたりのGDPを押し下げる要因ですが、日本は、少子化も進んでいるので、子供の人数も少ないので、あまり経済に貢献しない子供は、少なければ少ないほど、逆に、1人あたりGDPを押し上げる要因となります。
また、この場合は、失業率も考慮する必要があり、たとえばイタリアやスペインの失業率は、2桁に乗っているので、実際に仕事をしている労働人口と名目上の労働人口の乖離が日本より大きくなっています。日本は失業率が低いですから、その分、1人あたりGDPを押し上げる要因となるので、これらを考慮すると「労働人口で見た日本の生産性は相対的に高くなって、最下位ではないだろう」というのは、期待はずれの意見であり、大きな間違いになります。
日本は、全国民に占める仕事に就いている労働人口の比率が相対的に高いため、GDPを労働人口で割った生産性で見ると、逆にランキングが下がり、
かつ、日本は、相対的に働く時間が長いので、1時間あたりで計算すると日本の順位は、さらに下がってしまいます。

現実を見るべき

人口減少と高齢化が進む日本には、今後、大変に厳しい未来が待ち構えており、これは脅しでもなんでもなく、人口動態などのデータを冷静かつ客観的に分析すれば見えてくる、ほぼ確実な日本の未来です。
いますぐにでも対応を始めないと、日本は、近い将来、三流先進国に成り下がることは確実であり、下手をすると、三流先進国どころか途上国にまで転落する危険すらありますが、日本国内に蔓延しているのは「今までの仕組みを微調整して対応すればなんとかなる」という、その場しのぎの楽観論ばかりで、政治家にも経営者にも、そして、国民にも、危機感がまったくありません。
また「社会保障の負担が重く、税収を増やすためには、税率を上げる必要がある」という議論は「固定観念にとらわれた、非常に次元の低い理屈」であり、日本の社会保障制度に関していえば、究極的には、税率以前の問題であり、そもそも消費税の課税対象となる消費、そして、それを増やすために不可欠な日本人の所得を、いかにして上げるか?が、この問題の根本の議論になるべきであり、それに比べたら、たった2%の税率の引き上げなど、些末な話であり、いまの日本に降りかかっている問題の解消には、いままでにない、もっと根本的かつ大胆な政策が求められており、これまでの常識から距離を取り、前提条件にとらわれずに解決策を見いだす新しい思考が求められています。
これが、できない・理解できない政治家は、いますぐに議員を辞めるべきであり、マスコミも、くだらない話ばかり取り上げないで、いまの日本の姿を正確に国民に伝えるべきです。
また、国民も、何時までも人任せでいるのではなく、自分の頭で考えて行動すべきです。

近未来の日本

日本経済の先行きは、世界経済に大きく左右されますが、世界経済は、今後、数カ月のうちに、いまとは違う世界(価値観)に変わる可能性があります。
日本も、この影響を受けることは確実であり、この変化が、生じる日は、どんどん近づいており、いまの
日本には、高齢化や少子化、人手不足など構造的な社会問題があり、日本の借金は、日々膨れ上がっていく一方で、人口は、どんどん減っているので、これからの日本の長期低迷は不可避です。
この低迷により、
日本という国が、すぐに消滅することはないですが、そのうち、無くなってしまう可能性もあります。
また、
いますぐに、変化の波を起こしても、日本の社会が変わるには、30、40年かかるかもしれませんがしばらくの間(数年)は、いまの状態を維持する必要がありますが、いまの日本の場合、この維持すること自体が、非常に難しいと思います。
このような末期状態にある日本が、このまま、具体的な対策を打たなければ、30年後には、人口が大幅に減って、いまよりも、借金も大幅に増え、この国における繁栄と平和、静寂と自由しか経験していない、いまの社会に生きる私たちには、想像もできない海外(南米など)のような暴動が、いつ・どこで起きてもおかしくない非常に不安定で危険な社会になり、その苦労を味わう(生活する)のは、私たちの子供や孫の世代です。
その頃の日本は、いまのような平和で落ち着いた、法を順守する人たちの国では、なくなっていますが、
奇跡でも起きない限り、これから30年後、最悪の場合、10年後には、いまとは、確実に違う社会になっている筈であり、このような国に日本をしないためには、政治家を動かすことができる有権者である私たち国民が意識を変え、行動に移す必要があり、くだらない利権や保身に走っている場合ではありません。

日本型資本主義

日本で昔から言われている「職人魂」「細部までこだわる」「生産性や合理性ではない」という考え方は戦後、人口が爆発的に伸びている「恵まれた」時代だからこそ許された思考であり、いまも同様のことを言う人がいたら、それは、昭和という「人口激増時代の後遺症」であり「妄言」としか言えません。
これからの
日本でも、他の国のように人口が爆発的に増えれば自動的に経済は成長し、モノが売れるので経営が、下手でも企業経営は何とかなり、経営者が無能で経営戦略を建てられなくても、勝手に利益が増えて、株価が上がり、自然に利益が上がりますので、大量に製品を作りさえすれば会社は栄えました。
つまり、高度成長期などの人口激増時代は、高齢者を支える人が毎年増えるので、1人ひとりの労働者の効率や生産性を考える必要はなく、極論を言えば、労働者は、生産性を気にすることなく働けたので、表現は悪いですが「やりたい放題」が許されたので、ある意味、素晴らしい時代だったと言えます。
このような経済状況下であれば、企業経営のみならず、国としても、福祉制度を運営するのは容易ですが
このような状態が、日本以外の国々では起きている中で、日本だけが、人口減少と言う経済規模の縮小に直面しているのですから、世界レベルで見た場合、日本と言う国の価値が下がるのは至極当然です。
かつての日本でも、
人口激増を背景に「生産性を気にしなくても何とかなる」という閑雅を基に、日本型資本主義ができあがりましたが、これは、人口激増時代だからこそ許された甘えであり、人口減少時代のいまも同様のことを言うのであれば、その人は、ピーターパン症候群としか言えません。

日本病(Japan Disease)について

いまは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、インバウンドは冷え込んでいますが、新型コロナウイルス問題の前までは、アジアの国々から大量の観光客が日本に押し寄せてきていましたが、その最大の理由は「日本の物価が安いから」であり、これが、いまの日本の真の姿です。
日本が、このまま無策のままでは、アジアのみならず、何れ、世界的に安い国に陥る可能性が高く、最悪の場合、他の国から支援をしてもらわないと成り立たなくなる国にまで落ちぶれる可能性もあります。
それを防ぐには、生産性の向上しかなく、生産性の向上には、賃金の引き上げが一番効果的ですが、これを行わなければ、
きれいごと抜きにして、日本と言う国に「お金」が無くなります。
日本人は、男性も女性も長寿ですから、各種医療費・福祉費の支出は、毎年、増え続けている中で、収入(税金)が減ったら、どうなるかは、誰でも予想できる筈ですが、日本の最大の弱点は、個人が、独立した思想を持っておらず、周りの意見に流され、社会が「良い」としたことを無条件的に「良い」と思い込み、少数派の意見は無視されることですが、その典型例は「赤信号、みんなで渡れば怖くない」であり、「異常なレベルの横並び主義」です。
いまの日本経済(国や国民)は、長寿化に伴う福祉の支出を諦める(低福祉)か?、生産性を追わない今までの「甘え」を諦めるか?のターニングポイントに居ることになりますが、生産性の向上の恩恵は、福祉の維持だけに留まらず、長年、低迷している給料も上がります。
国連の調査によると、日本は、労働者の質が世界一高い国であり、さらに、世界的に見て、長時間労働をしているので、その分、適切に給与に反映されるので、生産性の向上は、所得向上にもなります。
いま日本に蔓延している日本病から脱却するために、現実を直視することが重要であり、それには、社会から、はみ出す恐怖心に打ち勝つ勇気が必要になりますが、いまは、自分が、人間として生きていくか?自分がゾンビにされるか?を決めなければならない「最期の審判」の時であり、新たなる時代に生き残るか?淘汰されるか?すべては、意識(考え方)を、どのように持つか次第になります。
また「世界で素晴らしい」と言われている人は、突き詰めると、潔くて、礼儀正しく、正義感があり、上の人が間違っていたら諭し、教育レベルが高く、忠義心があり、お金を渡してもネコババして逃げない昔の日本の侍みたいな人たちですが、いまの日本は、YESマンを蔓延らせて、いい気になっている人達が、国を動かしています。

時代や社会に抗っても信念を貫いたのが、かつての侍(大和魂)ですが、それが、今や死にかけており、いまや日本は、社会主義国家から、共産ファシズム社会になっています。