人生100年時代

 
 
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人生100年時代とは


人生100年時代とは、ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏が、著書「ライフシフト」で提唱した概念であり、舞台を日本に限定した場合「このまま寿命が延びて平均寿命が、100歳を超えるようになれば、これまでの生き方(考え方)は覆されるので、いまの日本社会での既定概念である定年(60歳代)という1つの節目以降のライフプランの見直しが必要である」と述べています。

人生100年時代になったら

 
人生が100年になると、いままでの一般的な考え方、つまり「定年後は、退職金や年金で好きなことをして、ゆっくりと余生を過ごす」というライフプランは一変し、70歳、80歳になっても働き続けなければならない人たちが確実に増え、いまの日本の福祉・医療制度では、国民に占めるその割合は、一生働き続けなければならない人たちの方が、圧倒的に多くなると推測できます。
実際に、いまの日本の平均寿命は100歳までは到達していませんが、平均寿命は、いまも、延び続けているので、70歳や80歳になっても働き続けることが求められる時代が確実に迫ってきており、60歳代で定年(引退)できる夢の時代は終わり、これからは、70歳・80歳まで働くのが普通になり、引退後のライフプランを、これまでのような人任せ・社会任せは通用しなくなるので、これまでよりも、1人1人の自律的なキャリアプランニングが求められますが、れが「人生100年時代」という言葉の概念になります。
つまり、
これから求められるのは「肉体的な健康」は当たり前であり、ほかにも「心の充実」が求められますが、これは、非常に難しい問題であり、簡単なことではないので「自分らしい人生」自体を見つけられない人も多く出てくると思いますが、そのような人たちは、ただ単に生きているという「ゾンビ化」になる恐れもあります。

加速する長寿化

日本の長寿化のスピードは加速してきており、2065年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になると言われており、平均寿命も、2065年には、男性84.95年、女性91.35年となり、女性は90歳を超えると考えられています。
また日本の「2007年以降に生まれた子どもの半数は107歳より長く生きる」という推測もあり、日本は、健康寿命の面でも、世界一の長寿社会になっていくと考えられているので、いままでのような、教育を受け、働き、定年を迎え、余生を送る、といった単線的な3ステージ型のライフプランは一切、通用しなくなり、マルチステージで人生を考えていく必要がでてきます。
この人生100年時代についての意識調査では、
ポジティブに捉えているのは、20代と60代で、ネガティブなのは、30代と40代という結果になっており、老後の生活についても悲観的なのは、30代と40代となっているので、働き盛りのミドル層ほど、冷酷な日本社会の現実を良く知っている層ほど、人生100年時代への抵抗感が強いですが、嫌がったり、避けたり、逃げていても、この現実は、避けては通れない事実として確実に目の前に現れるので、準備を怠ることが無いようにしておくべきです。

厚生労働省

・幼児教育の無償化 
 所得制限があるものの、0歳~2歳(未満児)の場合、認可施設は、2019年10月から全面実施されること
 が決定し、3歳~5歳も認可施設は、保育所・幼稚園・こども園のいずれも無償化されます。 

待機児童の解消 
 女性の就業率を上昇させるために重要になる待機児童の解消手段として、約32万人分の保育の受け皿を
 整備し、25 歳から 44歳までの女性就業率を80%にまで高めることを目指しています。


高等教育の無償化
 
 最終学歴によって平均賃金に差があること、低所得者層の進学を支援し、所得の増加を図り、格差の固
 定化を解消することが少子化対策につながるとの視点から、低所得者層の大学などの授業料免除や私立
 高等学校授業料の実質無償化が検討されています。
 

介護人材の処遇改善
 
 経験・技能のある職員に重点化を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を進め
「介護職員処遇改善加
 算」や「福祉・介護職員処遇改善加算」などを新設しています。


リカレント教育
 
 労働者が何歳になっても必要な能力やスキルを身に付けられるようにするための教育制度であり、これ
 は「大人の学びなおし」ともいえる教育方法であり、テクノロジーの進化が激しく継続的にスキルをア
 ップデートすることが必要となる時代に必要とされる教育です。
 

高齢者雇用の促進
 
 日本では健康寿命が高齢化していることから、高齢者がどのように働き続けるかが重要なポイントにな
 ってきており、高齢者雇用促進対策では、
65歳超雇用推進助成金の支給高齢・障害・求職者雇用支援
 機構による事業主に対する相談、援助などを
行い、年齢に関わりなく働ける企業の増加を目指します。

キャリア形成

これからの日本では、いまよりも、転職や副業が一般化され、定年が、70歳以上になる可能性も十分にあり得るので、ひとつの企業で定年まで働き続けるという思考自体が化石化し、どんどん、キャリアチェンジするのを前提にしたキャリア形成を考える必要がでてくるので、いまの時代では、ある意味(非常に狭い思考)では、勝ち組とされている公務員のような職業についている人たちこそ、定年後の長い人生を働ける(ただの事務屋は誰も必要としない)ためのキャリアの形成が求められます。
これが、夫婦であれば、ダブルインカムとなり、単身世帯よりも、リスク分散が可能なので、人生100年時代に突入した場合、厚生年金のパート拡大など制度改革の流れもあるので、いまのような専業主婦という層が完全に消滅し、女性も、積極的に就業することが求められるようになります。

ヘルステック

ヘルステックとは、人工知能やIoT、VRなどの新しいテクノロジーを活用した新しい健康サービスのことであり、ヘルステック市場は、近年では、大きな伸びを見せており、「今後2021年までに年平均20%以上の成長率を見せる」との見通しもあります。
ヘルステックの具体例としては、ウェアラブル機器を活用した健康管理や、オンライン診療、介護ロボットといったサービスがあげられ、こうしたテクノロジーを利用した健康サービスを利用することで、長寿社会を安定して生きていける社会になると予想されています。

老後生活について

20代~60代の男女1,000人を対象に行われた調査では、老後生活については、61.1%が悲観的であり「あなたは100歳まで生きたいと思いますか?」という問いには「まったくそう思わない」36.9%、「あまりそう思わない」41.9%と、実に、75%以上の人が、100歳まで生きることに否定的という結果が出ていますが、これは、当然の結果と言えますが、この回答は、いまの日本の医療社会の基本である、望むと望まざるに拘わらず「死ねない・死なせない=生かされ続ける」という現実を知らない結果とも言えます。
しかし「老後生活に悲観的なので、長生きをしたくない」という考え方を持つ人たちが多い、日本と言う国は、この国民の言葉を、どのように受け止めるのでしょう。

長生きリスク

身体的な衰えや病気のリスクは、年齢を重ねれば、誰もが持つ共通不安になりますが、国民の大多数が「収入減少」や「年金制度の破綻」などの収入面の問題で、長生きを悲観せざるを得ない状況化にあるという事実が、この国の国民の大多数が「他力依存症」であることの証明になります。
そもそも「年金制度の破綻」は、何年も前から、その制度の持続性が危惧されており、この制度の破綻は予想される
リスクにも関わらず、それを理由に「長生きを悲観する」というのは、あまりにも安直です。また「備えをしている」と回答した人が、わずか16%しかいないこと自体が大問題であり「自分の生き死に」を、他人(国)に過度に依存する人たちは、社会の大原則である「自分の身は自分で守る」という基本的な観点が抜け落ちており、他力本願が強すぎです。
この国の政治家が「国民のことは、全く考えていない」ことが明白なのに「年金制度の破綻」などというワードが出てくること自体が問題視されるべきであり、これは「収入減少」を理由にすることも同じレベルの話になります。
「自分の収入は自分で作り出すモノであり、誰かから与えられるモノではない」という初歩的な思考が重要であり、
実際に「備えがある」と回答をした人たちは「備えをしていない」人たちよりも「生きたい」という意欲が、2.5倍も高いという結果も出ています。

人生100年時代について

人生100年時代は、決して悲観される未来だけではなく、明るい未来もありますが、この国の国民の大部分が「極度の他力依存症」なので、懸念されるのが、長期化する老後の経済的不安になります。
人生を100年と考えた場合、いまの定年年齢と言われる65歳(将来的には75歳とも言われている)まで働いたとしても、残り35年(もしくは25年)、90歳まで生きたとしても、少なくとも15年は、定年後、もしくは現役引退期間になります。
特に「2007年以降に生まれた子どもの半分は、107歳まで生きる」とも予想されており、この世代の子どもたちが、親の世代である私たちの生活を守るために、過酷な税収を課されるリスクを少しでも軽減させる努力を、いまの現役世代はするべきであり、考えるべきです。
「高齢期の自分たちの生活を守る(年金や社会・医療・福祉制度)のは、その時代の現役世代が納める税金」という基本的なことを、自己中心的な視点しか持ち合わせていない、いまの現役世代の人たちは頭から抜けているようですが「自分たちの老後の資金を充実させる努力は、直接的に、自分たちの子ども世代の生活も楽(軽減税)にする」という考えが重要になります。
これからの日本では、
年金の受給開始年齢は、いまよりも確実に引き上げられ、今後、悪化することしかない少子化・高齢化を踏まえると、年金受給額の減額や医療費の自己負担が増大していくことも十分に予想できます。
このように激変が予想される環境化で生き抜くには、これまでの一般的な人生設計(他人任せ)ではなく自身で人生設計を立案することが肝心であり、一番初めに着手すべき事項は「どうすれば収入を得る期間(現役時代)を長くして、収入がない(少なくなる)期間を短くすることできるのか?」を自身の状況にあわせて立案・実行することが重要になり、その為には、生涯現役でいられる起業(業種が重要)を選択肢に入れることも必要になってきます。
これからの社会は、望むと望まざるに拘わらず、AI(人工知能)の進化やインターネットの発達により、機械化できることはシステム化され、求人市場で求められる内容も様変わりするので、いまの時代は「安定」と言われるような職業も、将来的には、衰退して存在しない可能性もあるので、起業する職業の選択も重要になります。
また、いまの職場や組織に一生涯、所属することは不可能なので、日本の公務員や企業の経営者や管理職に多く見られる
組織名や肩書に頼った生き方を、今すぐに止め、個人のブランド化により、退職後も、収入を得られる実力を積む努力を日々する、常に、成長する姿勢を忘れないこと、を心掛けて生活すべきです。
また、現役時代の不必要な固定費や出費などを抑え、稼げなくなった後の生活費としてプールしておき、そのプール資金を投資する、なども有効です。
最後に、現在の日本社会では、結婚をしないという選択をする女性が増えていますが、このような社会の流れ(長寿化・社会医療制度の崩壊・年金制度の崩壊)を考えずに、いまの自分の価値観だけで、結婚をしないという選択は、尊重される選択ではありますが、決して正しい選択とは言えなくなる時代が、すぐ、そこまで迫ってきています。