コロナで早まる2030年問題

 
格差社会、社会保障縮小社会をうむ
 

2030年問題とは


2030年問題とは、
現在でも問題化されている少子化・高齢化・人口の減少・年金問題が、いまよりも、さらに深刻化していると予想される問題であり、具体的には、日本の総人口の1/3が高齢者になる・生産年齢人口(労働者人口)が減少する・GDPが低下する・過疎地域が増加する、などがあります。
ほかにも、
現在でも、医療・介護や観光、IT業界など専門職の分野で労働力不足が顕在化してきていますが、それが、いまよりも酷くなることが予想されますが、この問題の前の2025年問題を、いかに上手に乗り切れるかに掛かっていると思います。

総人口の1/3が高齢者


2030年には、日本の総人口の1/3が高齢者になることが予想されており、2030年には、日本の総人口が約1億1,900万人まで減少し、65歳以上の高齢者人口は約3,700万人に増え、高齢化率は約31%になると推定されていますが、
WHO(世界保健機関)によると、超高齢化社会とは、高齢化率(総人口における65歳以上人口)21%以上、と規定しているので、2030年の日本は「超・超・高齢化社会」と言えます。

労働者人口の減少


高齢化や少子化が進むと、労働者人口の減少につながり、総務省の「平成30年版 情報通信白書」によると、生産年齢人口(15歳から64歳の人口)は、2030年には約6,800万人に減少すると予想されており、
2030年問題の中で、もっとも不安視されているのが、この生産年齢人口不足であり、生産年齢人口は、稼ぎ手であるとともに消費の担い手でもあるため、生産年齢人口が減少すると、日本の国際競争力は低下し税収も減少するので、国民生活を支えている社会保障費が不足するという悪循環に陥りますが、2030年の日本において、このような悪循環が生まれる可能性が非常に高いです。

過疎地域の増加


地方から都市部への若者の流出が問題視されていますが、今後も同じ状況が続けば、地方では、高齢者が大部分を占める地域が増え、
その地域を抱える道府県や市町村の税収は減少し、結果として、道路や森林などの整備やインフラの整備が追い付かなくなり、地域の荒廃を招き、ますます、若者が地方に定着しにくくなり、地方と都市部との経済格差が、さらに拡大することが懸念されます。

年金問題


日本の年金は「賦課方式」つまり労働者が働くことで年金受給者を支えるシステムなので、今後、労働者人口の減少と高齢化率の増加が続くと、給付年齢が上がったり、現役世代の納める負担が増えたりすることが予想され、最悪の場合、いまの年金システムを維持ができなくなり、年金システムそのものが崩壊する可能性があります。
また、この時代には、65歳以上の高齢者は、3600万人を超え、対人口比でも、ついに、4割を超えてしまい、そんな人口動態の変化によって、年金財政は、改善どころか悪化の一途を辿り、年金支給開始年齢は70歳に引き上げられ、社会保険料負担額は、年収の3割にも到達してしまい、そのほかの税金を合わせると給料から4割も天引きされる時代になります。
しかし、年金支給額は、負担の増加と逆行して、どんどん減っていき、サラリーマン世帯でも、夫婦合わせて月15万円がやっと、自営業の世帯では月8万円を下回る事態に陥るので、高齢者の貧困や生活保護世帯の急増が社会不安となってきます。

介護問題


高齢化率が上がる中で、介護サービスを求める人口は増えていく一方、労働者人口の減少によりサービスの担い手が不足し、介護サービスを必要とする人に、サービスを届けられなくなる可能性があります。

高齢者の貧困


現在の日本の年金制度は、各人が納付した保険料が積み立てられ、そこから各人の年金となって返ってくる、という「積立方式」ではなく、20歳~64歳の現役世代が、納付する年金保険料によって高齢者に年金が賄われる、という「賦課方式」が採用されているので、
現役世代が、きちんと納税をする(=支えている)ことで初めて、高齢者世代が、年金をきちんと受給できる(=支えられる)わけですが、年金受給者1人に対して、現役世代は2025年の1.8人よりも、その数が減少するので、支えきれなくなる可能性が出てきます。
このため、今後は、受給開始年齢の引き上げや支給額の減額も想定され、年金収入のみで生活する高齢者世帯にとっては、日々の暮らしに直結する食費や住居費を賄うことすら難しくなることが予想されます。

日本経済


首都圏でも、都心から離れたエリアは、人口が急激に減少し、空き家問題の影響は、東京都以外の首都圏各県にも波及しており、この時代では、
神奈川県・千葉県・埼玉県でも家が余るようになり、地価は下落し不動産を始めとする資産価値の目減りも続き、中古の戸建て住宅は、500万円でも買い手がつかない状況になります。
また、
郊外のマンションも悲惨なケースが増え続け、老朽化したマンションを建て替えようにも、所得の低下により建て替えにかかる費用の拠出を渋る世帯が多く、建て替え協議が難航します。
首都圏でもこの惨状なので、
首都圏以外の地方経済は、ますます、地盤沈下が続き、行政サービスを維持できない限界集落が、全国的に急速に増加し、特に、水道事業は、目を覆う惨状に陥り、水道が停止せなくなる地方自治体まででてきます。
ほかにも、
車を運転できなくなった高齢者世帯は、買い物難民・通院難民と化し、一部の地方自治体は、経済特区による企業誘致やサービス効率化のためのコンパクトシティなどを推進しているが、税収不足もあって思うように進みません。

金融パニック


日銀による金融緩和は、出口が見い出せず、国債格付けは悪化し、そのため、国債価格が下落し、金利は、上昇傾向が顕著になり、住宅ローン市場も、大きな転換期を迎え、史上最低金利を更新した安倍政権時代と比べると、住宅ローンの金利は3%も上昇することになり、当時の金利の安さに飛びつき、変動金利型で家を買った世帯は、返済苦にあえぎ、住宅ローン破綻者の続出が社会問題になってきます。

コロナで早まる2030年問題について


2030年には、新興国の経済成長によって人件費は高騰し、かつてのようなアジア製の激安商品は、あまり見られなくなり、
安いものを探すと、アフリカ産の商品が中心になり、さらに、円安は150円まで進み、輸入物価は、高止まり、そこへ消費税15%が追い打ちをかけることになるので、激安で買い物ができた時代は、この時代をもって完全に消滅します。
円安は、原材料を輸入に頼る企業にとっても苦しい状況になり、人口減少に伴い内需も縮小し、国内向けに事業を行う中小企業のほとんどは斜陽化が顕著になり、あれほどバブル景気に沸いていた不動産業界や建設土木業界も、高い失業率に悩まされることになります。
さらには、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)といった米国企業が、インターネットビジネスやAI産業を牛耳り、2019年には存在した職業の3割を消滅させ、この動きに対応できない企業は淘汰に追い込まれます。
タクシー会社も、IT制御での自動運転の実現により、主要都市に誕生したスマートシティ内では、自動運転のクルマによる域内移動が主流となりタクシーは不要になります。
そして労働人口の減少は、医療や介護といった特定業界以外のすべての産業を斜陽化させ、このような状況下では、中小企業には、高い給与を払う余力などなく、職には就けるが収入は、ほとんど上がらないという状態は改善できていませんが、労働人口が減少している分、雇用環境は、若干、改善し、若年層の失業率は低下しますが、これは、非正規雇用の話であり、正規雇用の募集は非常に少なく、正社員になれるのは、ごく一部の優秀な人材だけであり、ホワイトカラーが、やっていたルーチンワークまでもが自動化、あるいはクラウドソーシングで外注化されるようになり、AI技術とIoT革命が進み、あらゆる電子機器にAIが組み込まれるようになるので、住宅ローンの審査や資産運用もAIが行うので、人が不要な業種・業務が急増し、そのAIが組み込まれたロボットも進化し、単純作業は、学習型ロボットが行うようになります。
また、働き方革命によってサラリーマンの残業代は消滅し、年収も2019年に比べると軒並み2~3割減となるので、30歳代で年収300万、40歳代で年収400万円代の世帯が大勢を占める状況になりますが、これも正社員の話であって、労働者の大半を占める非正規労働者の平均年収は150万円前後と著しい低収入に固定されることになります。
このように、
低年収者の増加と専業主婦の優遇税制が撤廃されたことによる女性の社会進出により、未婚率も上昇し、特に、30代男性の未婚率が7割という惨状になり、収入が低いという理由から結婚したくてもできない「男余り」現象が深刻化します。
そして8050問題(80代の親が、50代の引きこもりの子の面倒を見る)も解消されず、生活保護の増加や殺人事件に発展する事件も増えることが予想されますが、このような惨状は、目を負いたくなるような時代ですが、2030年問題が問題化するのは、その前の2025年問題を無事にクリアーできたらの話であり、今回の新型コロナウイルス感染拡大問題により、日本を取り巻く様々な問題が表面化・顕著化したので、想定されていた時期が前倒しされています。
つまり、この2030年問題は、2030年以前の時代、つまり、2025年に日本を襲っても何ら
不思議でもなく特に、金融問題は、2025年まで待たずに、今回の内容が実現化する恐れが高いです。
今回の新型コロナウイルス感染拡大問題は、企業に、必要なモノと不要なモノを明確に開示したことになり、企業も、そのことに気が付いていますので、後は、いままでの常識が、どのタイミングで通用しなくなるかだけです。
これからの時代は、2025年とか2030年と言う数字だけに捕らわれず、常に、自分自身のスキルアップと自身の商品価値を上げるための勉強やチャレンジをして経験値をあげるべきであり、これは、いまの若い世代にこそ求められることあり、自分の人生や自分の価値を他人に決めさせるのではなく、自分で切り開くべきです。
逆に、頭が固まり新しいモノを受け入れることができない世代は、それなりの年齢になり、それなりの責任ある立場にいるのですから、自分の責任で、行動するか?しないか?を判断すれば良いと思います。
いずれにせよ、行動しても行動しなくとも、時間というモノは、誰にでも平等なので、確実に、その時は訪れますので、その時になって、後悔しないように日々を過ごすことが重要になります。