加速する限界(過疎)集落消滅

 
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加速する限界(過疎)集落消滅とは

 
日本全体で人口減少が加速する中、全国に点在する過疎地域が一段と深刻な状況に追い込み続けており、全人口の過半数を65歳以上の高齢者が占める限界集落の消滅は確実に進んでいます。
加速する過疎地域消滅は、地方自治体消滅のカウントダウンの始まりとも言えます。

限界集落の消滅は全国で174カ所


国土交通省の2015年度過疎地域現況調査によると、2010年度の前回調査からの5年間で174ヶ所の集落が消滅しましたが消滅したのは、東北、四国、九州で多く、内27集落が東日本大震災の津波被災地でした。
また、
前回調査と比較可能な64,130ヶ所のうち、81.2%に当たる52,058ヶ所で人口が減っており、当該市町村が存続か消滅かを予測した75,662ヶ所のうち消滅の可能性があるのは全体の4.8%に当たる3,614ヶ所にも上っています。 
そのうち、限界集落数は、64,130ヶ所のうち13,649ヶ所と全体の21.3%を占め、前回(5年前)は全体の14.7%の9,516ヶ所しかなかっただけに限界集落数の急増ぶりが目立ちます。
また、高齢者だけの集落も前回の575ヶ所から726ヶ所に増えていますので、これらの集落も消滅限界集落になる日は近いといえます。

国土交通省の2015年度過疎地域現況調査

 
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限界集落を支えてきたのは昭和ひとけた生まれの高齢者ですが、彼らが80代となり体力の衰えで地域を支えきれなくなりつつありますので、国交省総合計画課は、過疎地の人口減少は綿々と続き苦境が増大している、とみています。

夕張市は市部で初めての限界自治体に


何かをきっかけに地域が一気に崩壊へ突き進む事例も増えてきており、東日本大震災の津波被害から極端な人口流出に苦しむのが宮城県石巻市雄勝地区であり、震災前に4,300人いた人口は1,000人ほどと震災前の4分の1にまで減少しています。
石巻市も、無策ではなく高台を切り開いて住宅地の再建を続けており、造成地の数は17ヶ所にも及びますが、1軒の住宅も建っていないところさえあり、仮設店舗で営業していた小売店の中にも商売が成り立たずに閉店するところも地区が陸の孤島になりつつあります。
北海道夕張市は、自治体の財政破たんで若者の流出を加速し高齢化に拍車をかけており、住民基本台帳に基づく人口は8,593人で、うち65歳以上が4,301人と高齢化率は50.5%に達し市部で初の限界tt地方自治体となっています。 

地道に第一次産業(農業・林業・水産業)を立て直すことが重要


人口減少に苦しむ地方自治体の中には、新幹線やカジノなど大規模開発で事態を一気に好転させようとする動きがありますが、これらは、実現すれば一発逆転の可能性を秘めていますが、この手法は、かって、リゾートブームに乗って失敗を重ねたのとまったく同じ発想になります。
当時と大きく違うのは、バブル当時の20世紀は過疎地域の人口が減っても県庁所在地など地方都市の人口が増え、都道府県内に人口をとどめる機能が残っていましたが、今は、地方都市も人口が減少し、打つ手がない状態なので「20世紀の夢をもう一度」でチャレンジした場合、高い確率で失敗し、人口流出の流れを加速させるという取り返しのつかない失敗につながる恐れが大きいです。
日本創成会議が2014年、全国市町村のほぼ半分に当たる896地方自治体を消滅可能性都市に挙げましたが当時は、これに反論する意見も多かったですが、現実は、創生会議の予測通りに進んでいます。
有識者は、この問題に対し、大規模開発では現状を打開できない。地方自治体は、その地域にある潜在的な資源を見直して、そこから地道に雇用を創出、若者をつなぎとめる方法を探すべきだ。従来の地方都市が農山村を支えるやり方ではなく、農山村自体を立て直す方策を模索する必要があると指摘しています。

日本の限界地方自治体第1号


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       高知県大豊町の人口は約5分の1に。世帯数は約2分の1に減った。(出典:総務省公表資料)

高知県大豊町は、日本の限界地方自治体第1号となったことで知られていますが、四国山地の真ん中にあり東京23区のほぼ半分という広い面積に4,000人足らずが暮らす小さな町になります。
町が発足した1955年には2万2,000人以上の人口がいましたが今や5分の1以下になってしまっています。
町内には85の集落が点在しており、うち69が限界集落、15は55歳以上が過半数を占める準限界集落となっており、55歳未満が過半数の存続集落はわずか1つで1集落は既に消滅しており、11の集落では世帯数が10戸を割り共同体の機能が失われようとしています。 
この町では、
独り暮らしの高齢者が死亡し3週間後に発見されたり、電動4輪車で路上に転倒した高齢者が救助されたのは5時間後というような都会では、とても考えられないようなことが日常茶飯事になりつつあり、宅配サービスが高齢化した地域の暮らしを何とか支えているのが現状であり、働く場所の乏しい山村に若者は戻ってくることはありません。

消滅寸前の限界集落


地方の人口減少が止まる気配は全くなく、今後は、2040年までは全国的に加速の一途を辿ります。
特に、中山間地域ともなれば、65歳以上の高齢者が人口の50%以上を占める限界集落が増え高齢者人口が地方自治体人口の過半数を超す限界地方自治体も珍しくなくなってきています。
相次ぐ高齢者の孤独死、放棄された先祖伝来の墓、増え続ける買い物難民、住職のいない寺、延々と苦悩が続く老老介護など、消滅に向けて急な坂道を転がり落ちる過疎地域の日常は、日本中どこにでもある光景になりつつあります。

加速する限界集落消滅について

加速する限界集落消滅問題は、日本人の「故郷を大事にする」という気持ちが薄くなるにつれて、加速化してきているように思えます。
現在の過疎化の地域に生まれ育った人が、都市部に出たのが問題ということではなく、日本という国が目先の損得に踊らされて、地方(第一次産業)を疎かにしてきたツケが今の段階で形として降りかかってきていると言いたいのです。
ここまで、広範囲で加速している過疎化と限界集落の消滅は、避けては通れない事実ですので、今から取れる対策は、地方の人口問題は、その地方だけの問題ではなく国としての問題であるということを日本は早く気が付くべきです。
海外には、人口が少なくても自立している地方自治体や集落は数多くありますので、海外にできて日本ではできないという理屈にはなりません。
その際も、バブルの時のように、ただ単にお金をばら撒くということではなく、持続可能な政策を国の強いリーダーシップにより構築する必要があり、それを実現するには域内の住民の協力と理解が必須になってきます。
今の日本は、当事者である地方自治体に過疎化と限界集落に対する危機感が足りないように思われますので、国を筆頭に、地方自治体の政治家(議員)や職員の考え方の変革が求められています。