日本の破綻

  
 

2020年は日本にとって大きな分岐点


2020年は、日本では東京オリンピック・パラリンピック(が開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大により1年の延期が決定)、5Gネットワークサービスが開始されるなど発展や未来をキーワードとする事象が出現しますが、一方で、労働力人口の減少に歯止めが効かず、団塊の世代が、すべて70歳以上になって後期高齢者に向かい始めますので、明と暗が同時に訪れ、私たちを取り巻く環境が大きく変わるターニングポイントの年になります。
日本が超高齢社会に突入して、これからどんどん人口が減っていくという事実は、将来の日本を考える上で大前提になりますが、後期高齢者が大量に増える = 社会保障費が際限なく膨らむ になります。
 

国家破綻の危機


国が無限に国債を増発して年金や医療・介護費用を支払っていくのは不可能なので、1990年代末の金融危機の頃から、「日本は早晩財政破綻する」と言われはじめましたが、国家破綻のターニングポイントとされたのが2010年で、その理由は、団塊の世代が60歳になって定年退職するからでしたが、
現実には、彼らは満額の退職金をもらって会社を辞め逆に消費が活性化されました。
さらに、65歳まで再雇用で働いたり、もっと長く働く人もいたので、財政破綻どころか国債価格が高止まりして超低金利(ゼロ金利)が長期化しています。
最近になって言われはじめた新しいターニングポイントが2025年で、これは、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者になるからですが、戦後日本は、いい意味でも悪い意味でも、団塊の世代が作りあげてきましたから、この層が全員、国家の被扶養者になったときに、今までは、隠れていた様々な問題が顔を表すと予想されています。

日本はアジアでも物価が安い国


80年代バブルの頃は、20代の女性が1泊2日の弾丸ツアーで香港へ行って、最高級のペニンシュラホテルに泊まってブランドものを買い漁っていましたが、今は、香港やシンガポール、上海や北京の女性たちが、「日本は物価が安い」といって1泊2日、2泊3日で東京にやってきて買い物しています。
日本は、ディズニーランドの入場券や100円ショップの実質価格が中国や東南アジアよりも安いと報じられましたが(日経新聞2019年12月10日「価格が映す日本の停滞」)、これが、まさに平成の30年間を象徴しており、日本は、私たちが気付かないうちに安い国に成り下がってしまっており、
2000年前後には、もう、安いニッポンの兆候が表れていました。
近年、日本への訪日客が増えている一番の理由は、日本の物価が安いからであり、よく言われる「おもてなし」は大して関係ありません。 

「アジアで一番、世界の中でも富裕国」が日本人の自尊心だった


80年代の日本は、アジアでは突出しており、1人あたりのGDPでも世界5位以内に入っていましたが、今ではGDPで中国に抜かれ、1人あたりの豊かさでは、シンガポールや香港に大きく引き離され、韓国に並ばれようとしています。
最近では、中国人や韓国人だけでなくタイ人、ベトナム人、インドネシア人などが、たくさん日本に観光旅行に来ており、
韓国、台湾、香港、シンガポールにつづいて中国が驚異的な経済成長を遂げ、東南アジア諸国が、それを追うように急速に豊かになる中で唯一、日本だけが成長から脱落しています。
90年代の日本は、中国が自由経済に舵を切った際に「中国から流民が押し寄せてくる」と大騒ぎして、14億人が豊かになるとはどういうことか?をまったく理解していませんでしたので、いつまでも、豊かな日本と貧しいアジアという幻想にしがみついていた結果、経済成長は、アジア全域に広がり中国だけでなく東南アジアにも多くの中間層が誕生しました。
2000年代に入ってすぐのベトナムは、世界の最貧国の一つでしたが、2015年ぐらいになると、ホーチミンやハノイに高層ビルが建ち、道はきれいに舗装され高級住宅地が整備されるなど急速に経済成長しました。
このように、アジア諸国が急成長する中で、
日本人は、アジアの国々が自分たちにキャッチアップするとは想像もできず「自分たちがアジアで一番」という自尊心を持ち続けましたが、過去の遺物です。

自尊心を破壊された日本社会に起きた嫌韓反中現象


日本のさまざまな世論調査で「嫌韓・反中」の主体が中高年であることが分かっていますが、若者は、逆に、韓流スターやアイドルなどの影響もあって韓国に親しみを感じています。
これは80年代の圧倒的に豊かな日本を体験した層が、安いニッポンという現実を突きつけられて、自尊心=日本人というアイデンティティを破壊されたと考えれば理解できます。

日本の破綻について


日本がアジアでNo1だった時代は、遠い過去の話であり、今の日本の実力は、アジアの中でも中位レベルの国です。
その事実に気付かずに、思考が停止して、ただ漠然と過ごしている(今の環境が永遠に続くと思っている)日本人が多すぎるので、これからの日本の将来は非常に暗いとしか言えなくなります。
これは、特に、地方自治体に多く見られますが「今まで何とか運営してこれたから、これからも運営し続けられる」と本気に思っている首長や議員、職員が多いことには驚かされます。
今まで運営してこれたのは、国からの交付金があったからであり「その交付金が減額されたり無くなっても運営できる」と胸を張って言い切れる首長や議員、職員は、どの位いるでしょうか?
今後の日本は、生産年齢人口の急激な減少と高齢者の増加により、今までよりも急速に国際競争力をなくしていき、最悪、日本という国は「過去の豊かだった国・老いた国」に陥る可能性が高く、日本の地位が今よりも低くなることは避けては通れない事実です。